第一章
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一撃で終わり
この時阿比留大河は絶好調であった、高校生だがプロゲーマーである彼はまさに常勝無敗であった。
その為こう豪語していた。
「俺に適う対戦相手なんてこの世にいるかとは言わないけれどな」
「それでもか」
「大戦では最近絶好調でも負けたことあるからよ」
癖のあるあちこちはねた赤と黒のメッシュの髪である、細面で目もそうである、眉は細く一七五ある身体は細い。高校では珍しくなっている黒の詰襟が似合っている。今彼は学校でクラスメイト達に笑って話していた。
「言わないさ、駆け出しの俺より強い人は幾らでもいるさ」
「だからそう言うんだな」
「対戦相手については」
「そうなんだな」
「けれどコンピューター相手なら別だぜ、AIでも人間と違って動きにパターンがあるからな」
それでというのだ。
「それを見切れば勝てるさ、だからどんなゲームでもな」
「クリア出来るか」
「そう言うんだな」
「そうさ、俺にクリア出来ないゲームなんてないさ」
こう言って笑っていた、だが。
ある日彼が新宿にある八条ゲーム直営のゲームセンターの地下のフロアレトロゲームのコーナーに入った時にだった。
熱血硬派くにおくんというゲームを見た、彼はそのゲームを見て一緒にいる友人達に話した。
「えらい古いゲームだな」
「ああ、これ昭和の頃のゲームだな」
友人の一人が自分のスマートフォンを取り出してこのゲームを検索して答えた。
「ツッパリ、今で言うヤンキーが友達の仇を取る為に戦うゲームだ」
「へえ、そんなゲームか」
「操作方法はゲーム機に書いてあるな」
「それがわかればいいさ、何か面白そうだからやってみるな」
阿比留は特に考えることなく言ってだった。
コインを入れてゲームをはじめた、流石にプロゲーマーだけあって最初のステージも次のステージも何なくウリアしていった。
「すげえな、スキンヘッドのツッパリが木刀振ってな」
「ハイカラーと長ランのボスで駅のホームで喧嘩か」
「次はマスクと特攻服の某総督と波止場でか」
「バイクに乗って体当たりしてくるしな」
「その次はチェーン持ったスケ番」
「えらい古いな」
「ガチ昭和だな、今時こんな奴等いるかよ」
阿比留はプレイしながら笑って話した。
「古いにも程があるだろ」
「全くだな」
「流石昭和のゲームだな」
「もうこんな連中いないな」
「いたら化石だぞ」
一緒にいる友人達はゲーム機の前に座ってプレイをする彼を後ろから囲んでプレイを観ながら笑って話した。
阿比留はダメージを受けながらも一度も倒されることなく第四のステージに行った、するとそこの敵は。
「ヤクザか」
「スキンヘッドでサングラスか」
「だから今時こんなヤクザ屋さんいるか」
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