失敗魔法
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ない。確かに前回、トレギアはもう紗夜さんを狙わないって言ってたけど。正直俺は……」
「ハルトさん。落ち着いて」
これからあれこれ口走りそうになるウィザードを、可奈美が制した。
すると、ウィザードが口にした単語に、紗夜が身を乗り出す。
「トレギアって、あのトレギアですか!?」
「あっ……!」
紗夜の食い込みに、ウィザードは自らの失言に後悔する。
だが、時すでに遅し。
真っ青な顔を浮かべた紗夜は、ウィザードへ顔を近づける。
「あのトレギアが、この件に関わっているのですか!?」
「違う違う違う! 誰もそんなこと言ってないでしょ」
ウィザードは慌てて否定する。
だが、紗夜はすでに内にある恐怖に苛まれていた。
「トレギアが……まだ生きてる……っ!」
紗夜は怯えた表情で自らの肩を掴んだ。
完全にトラウマとなっている名前に怯える紗夜へ、ウィザードは付け足す。
「大丈夫だよ。多分、もう紗夜さんを狙うこともないだろうし」
「本当ですか……?」
ウィザードは頷いた。
「前回、トレギア自身が言っていたんだ。紗夜さんはもう狙わないって。あくまで可能性の話。それより、今はこっちの話だよ」
ウィザードは改めて、紗夜から受け取った写真をカウンターに置く。
「サーヴァントを失ったマスターは、当然参加資格もない。逆に言えば、俺たちが今抱えている参加者の縛りもないでしょ?」
「縛り?」
可奈美は首を傾げた。
紗夜も、少し顔を蒼くしながら尋ねた。
「参加者に、縛りなんてあったんですか?」
「うん。俺たち参加者は、見滝原から出ることが出来ない。指一本でも見滝原を出たら、その時点で強制的に死んでしまう」
それこそ、晶のサーヴァントはそのルールによって命を落とした。とは、ウィザードは口にしなかった。
「それじゃあ、松菜さんたちは、もう見滝原から出ることはできない……!?」
「少なくとも、聖杯戦争が終わるまではね」
その事実を告げると、彼女はウィザード以上に絶望を浮かべた。
「そんな……っ!」
「まあまあ。紗夜さんがショックを受けることじゃないよ。紗夜さんはもう、その縛りなんて無くなったんだから。この前も、聖杯戦争から降りた参加者だって無事に出ていったし。……美炎ちゃんたち、無事に出られたよね?」
「うん」
「……でも……っ!」
「いいから。まあ、そういう訳だから俺たちは見滝原から出られないんだよ? もし蒼井晶が見滝原から出ていったあとだったらもう打つ手ないよね」
「……そうだ」
可奈美は何かを思いついたように、スマホを取り出した。
「ねえ、これからちょっと手がかり持ってそうな人のところに行ってみない?」
「手がかり
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