第118話『鉛の雨』
[7/7]
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
撃った重装兵たちは銃こそ失ったものの、今度は剣を構え始める。まだ終わりではないようだ。
一方、月たちの方も花織の力によって現れた蔓が敵を拘束していたが、全員ではない。動ける兵が発砲を続け、それを月が全て防いでいる。
互いに一進一退の状況。気を抜けば死ぬ可能性もあるギリギリの戦いだ。よそ見は許されない。
「へぇ、いい連携じゃないか」
「よそ見する暇はねぇぞ」
「どうせ見なくたって問題ないだろ」
「ナメやがって!」
自分の手下がやられていても俯瞰の姿勢を崩さず、とことん影丸までも見下す雨男。だがその言葉通り、見ていなくても影丸の攻撃を躱していたのだ。だからなおさら影丸には腹立たしかった。
「"黒龍爪"!」
「だから当たらない、な!」
痺れを切らした影丸が魔力を込めた貫手を繰り出すも、それも避けられる。
そして雨男は反撃にと、影丸の腹部に手をかざした。これはアーサーの時にも見た技で、身体に風穴を空けてしまいかねない危険な技だ。このままでは影丸もアーサーの二の舞に──
「……へぇ、今のを耐えるか」
「──"龍化"。龍の鱗をナメるなよ」
金属がぶつかるような硬い音がした。だが影丸の腹部に穴は空いていない。
そう、影丸は"龍化"──全身を龍に変身することで乗り切ったのだ。結月の"鬼化"と似たようなものだろう。
人型ではあるものの、鋭い牙や爪、そして龍らしい翼や尻尾まで生えている。何より目を引いたのは、彼の能力"黒龍"の名に相応しい、漆黒の鱗だった。謎の攻撃をも通さないその防御力は賞賛に値する。
「彼女といい君といい、俺の攻撃を防ぐ奴が2人もいるなんてな。旧魔術師とはいえ褒めてやるよ」
「いい加減、その旧魔術師って呼び方やめてくれねぇか? 見下されてるようでイライラしてしょうがねぇんだ」
「実際に見下しているんだからその感情は正しいよ。そんなに不満なら、俺に全てぶつけてみろ」
「ガキのくせにいい度胸だ。死んだって知らねぇぞ」
──こうして、魔導祭閉会から一転、テロリストたちとの争いが始まったのだった。
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ