第118話『鉛の雨』
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である。
──だから、ここで一番槍を投じるのは、相当な胆力が必要だっただろう。
「──行って! "モーさん"!」
「「うわあぁぁぁ!!??」」
月が、1秒にも満たない時間でモーさんを創り上げ、そのまま隊列に突進させた。そのあまりの造形の早さに敵は反応が間に合わず、突進に巻き込まれていく。重装備だろうと関係なく押し出し、壁へと押しつけた。
「撃てぇ!!」
それを見て、もう1つの出口から出てきた重装兵たちの銃口が月へと向けられ、そして発砲された。前を制圧しても、後ろがガラ空きである。このままでは──
「星野先輩! "夜の帳"!」
しかし、その脅威を防ぐべく飛び出したのは終夜だった。黒雷のマントで銃撃を真っ向から防ぎ切る。
「はーこっわ! 射線の中に突っ込むとか我ながら正気じゃねぇ!」
「でもナイス終夜! 助かった!」
「先輩が無事なら良かったですよ。はぁ、もう何が何だかわかんないですけど……とりあえずこいつらぶっ倒すしかないってことですかね」
「そうみたい。私たちはこっち側をやる。後ろは任せたよ」
「了解です」
さすがは終夜。混乱していても最善に近い手を取る能力は衰えない。彼は"敵を打倒する"選択肢を取った。
そして最初の命令を下す。
「暁!」
「うっす!」
待ってましたと言わんばかりの即返と共に、伸太郎はお得意の目くらましを発動する。
状況判断能力で言えば、彼も飛び抜けて高い。終夜が自分を最初に抜擢するとわかっていたからこその行動の早さだった。
「辻!」
「あぁもう行けばいいんでしょ! "武装・緋連雀"!」
続いて行動が鈍くなった重装兵たちに向けて、武装した緋翼が突撃する。敵の目が眩んでいるとはいえ、乱発される可能性もあり非常に危険な行為だ。
しかしそれよりも早く、彼らの武器を奪うにはこの手しかない。この姿の緋翼のスピードがあれば、5秒もあれば前方の重装兵たちの銃を全て切り刻むことは造作もなかった。
「晴登は結月を守れ! まだ敵がどこに潜んでいるかわからない!」
「わ、わかりました!」
最後に、晴登はこの戦場を陰で支えている結月の護衛を任された。この鉛でも降っているかのような不気味な雨について誰も気にしなくていられるのは、結月の献身的な防御のおかげに他ならない。彼女を護ることも、この戦いの勝利条件と言えるだろう。
「黒木! 全部やったわ!」
「よし! 後はあの重装まで突破できれば御の字だが……」
「さすがに無理! 私の刀じゃ斬れそうにない!」
「だろうな。銃無効化しただけ良しとするか」
終夜たちが迎え
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