第118話『鉛の雨』
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、新魔術師って……そんなにお前らが偉いのかよ」
「もちろん。何せ俺らは"神に選ばれた魔術師"だからな」
『神に選ばれた』。現実味のないそのワードに眉をひそめるが、影丸は周りを見渡してから冷静に言葉を返す。
「……なら、お前の後ろにいるレベル0の奴らも全員、"神に選ばれた魔術師"とやらなのか?」
「へぇ、よく見抜いたな。正確には、まだ"卵"の段階だがな」
銃を使う時点でおかしいと思ったが、なんと重装兵たちはレベル0の魔術師、すなわち一般人だった。魔術師の祭典である魔導祭の襲撃に一般人が加担してる時点でよろしくない事態だが、"神に選ばれた魔術師"というワードが引っかかる。
卵……ということは、"まだ目覚めていない"という意味だろう。彼らが魔術師に、新魔術師とやらに成り上がるとでもいうのか。
「しかしそれもあの杖が手に入るまでの辛抱だ。その杖があれば、俺は俺の理想を実現できる」
雨男は、遠くに見える優勝杖を指差しながらそう語った。
終夜が言うには、あの杖は凄まじい力を持っている。だからこのテロリストたちはそれを利用する気なのだ。そのことが良いことなのか悪いことなのかは晴登には測れない。
──ただ、これだけ人を傷つけている時点で晴登にとっては悪者だ。
「はっ、ロクでもねぇ理想に違いねぇな」
「低俗な旧魔術師の分際で俺を笑うなよ」
素顔が見えないが、雨男が明らかに見下すように影丸の煽りにそう返した瞬間には、影丸の手刀が首元に迫っていた。
しかし雨男は、驚くこともせずにそれを難なく右手だけで受け止める。
「仇討ちのつもりか? お前も同じ目に遭うだけだぞ?」
「悪いが、俺はアーサーよりも丈夫なのが取り柄なんだ」
ぐりぐりと手刀を押し込み、雨男を防御に専念させる影丸。だがその手はビクとも動かない。
なるほど、アーサーの剣が通用しない訳だ。見た目に似合わず、とんでもない怪力である。
そこで影丸は大きく息を吸って、会場中に聞こえるように叫んだ。
「てめぇら! 死にたくなければ戦え! こいつは俺が抑える!」
「「!!」」
背後にいる魔術師達に向けて、そう扇動したのだ。相手がテロリストだろうと、魔術師であれば自分で自分の身を守るだけの力はある。だから戦えと、そういう意味だろう。
「迎え撃て。抵抗する奴らから全員殺せ」
「「はっ!」」
一方で、雨男からは冷酷な命令が下る。その命令に一切の抵抗なく、重装兵達は一斉に銃を構えた。
「くっ……!」
1番の脅威であろう雨男を抑えても、根本的な解決にはならない。銃を先に構えられてしまうと、結局迂闊に身動きが取れないのだ。動いた瞬間、蜂の巣確定
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