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非日常なスクールライフ〜ようこそ魔術部へ〜
第118話『鉛の雨』
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た片手が斬れる様子もなかった。


「……っ」


その状態で為す術がないことを察したアーサーは、剣を消して一度後退する。その横顔には、珍しく焦りの色が見えた。

まさか、彼の一撃を防ぐ者が現れるなんて。しかも身長や声の感じからして、あの布の下の正体は──"子供"だ。晴登とそう歳も変わらないくらいの。


「……何者だ」


アーサーが語気を強くして問うた。
彼もまた、目の前の人物が子供であることに気づいているはず。だからこそ、不可解だと感じているのだ。どうして子供が突然現れ、自分の攻撃を防ぐことができ、テロリストを庇うのかと。


「俺か? 俺はただの……"雨男"だよ」


その子供──雨男は、今思いついたかのようにそう名乗った。だがその瞬間、雨足が強くなり、さらに激しい音を立てて雫が氷を打ち鳴らし始めた。


「結月! 大丈夫?!」

「まだいける!」

「おいお前ら、動くなって──」

「落ち着けよ。俺が出てきたんだ。お前らは大人しくしてろ」

「はっ」


雨の勢いが増したことが心配でつい結月に声をかけ、危うく標的にされるところだったが、そこは雨男が制止した。

しかし、これでようやく彼の立場がハッキリする。なぜかはわからないが、子供の彼こそが──テロリストの親玉だ。あの荒々しかったリーダー格の男が頭を下げて、従順な態度を示したことがその証拠である。


「この集団は何なんだ? 目的は?」


物怖じすることなく、アーサーは問う。この時にはもう、誰も悲鳴を上げなくなっていた。静かに、その問いの答えに耳を傾けている。


「"スサノオ"。それが俺たちのチーム名だ。目的は……まぁ教えてもいいだろう。1つ目はその杖、そして2つ目は……ここにいる魔術師全員の駆除だ」


彼がそう言った瞬間、口を閉じていた人々がざわめき始める。当然だ、殺されるとわかって平静でいられる訳がない。
だが今度は銃声は聞こえてこなかった。雨男の制止のおかげである。そこだけは感謝した。


「駆除だと? 殺戮が目的だというのか?」

「そうだ。本当はこの雨で全員仕留めるつもりだったが、まさか防がれてしまうとは。"旧魔術師"も捨てたものじゃないのかもしれない」


スサノオの目的に眉をひそめたアーサーに、雨男は悪びれもせずに答える。
さりげなく雨を振らせた張本人だと白状したが、それよりも気になるワードがあった。


「旧魔術師……?」

「そう言ったのさ。対して俺らは"新魔術師"。お前らよりもワンランク次元が上の魔術師なんだ」


手を広げて、そう意気揚々と説明する雨男。だがそんな話、聞いたこともない。
それはアーサーも同じようで、さらに目を細めて彼を睨
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