第二章
[8]前話
「それでスーパー銭湯みたいな大浴場とレストランが幾つもね」
「凄いものだな」
「バーもあるわ」
「本当に凄いな」
「けれどここが悪いってあんた思う?」
「馬鹿言え、いい旅館だろ」
中原は遥の問いに真顔で返した。
「働いてみてお前もわかるだろ」
「ええ、こんないい旅館そうはないわ」
「そうだろ、あっちはあっちでな」
「ここはここね」
「同じ業界のものでも違うんだよ」
ホテルと旅館ではというのだ。
「フランス料理のレストランと居酒屋比べても仕方ないだろ」
「居酒屋?料亭じゃなくて」
「居酒屋だよ、うちは」
中原は遥にそれだと返した。
「気取ってないしな」
「べつにうちのホテルだってね、ロイヤルスイートとかは違うけれど」
「それでも大きさが違うだろ、それで言うんだよ」
「そうなのね」
「ああ、けれどホテルはホテルでな」
「旅館は旅館ね」
「そうだよ、じゃあこの夏はこれからもな」
遥にあらためて話した。
「宜しくな」
「今日も頑張るわ」
「これが終わったらお客さん達の朝ご飯の用意だからな」
「わかったわ」
遥は中原の言葉に頷いた、そうして掃除から朝食の方に向かった。この夏遥はしっかりと働いた、すると。
中原に二学期がはじまると笑顔でこう言えた。
「お父さんもお母さんも弟も見違えたってね」
「言ってるんだな」
「ええ、旅館で働いてね」
中原に笑顔で話した。
「成長したなってね」
「それは何よりだな」
「それで今度はあんたがどう?」
中原に笑顔で誘いをかけた。
「うちのホテルでね」
「いいのかよ」
「願書持ってきて採用されたらね」
「その時はか」
「どうかしら」
「じゃあな」
「お互い同じ業界でも違うから」
ホテルと旅館ではというのだ。
「そうしたこと勉強する為にもね」
「ああ、じゃあな」
「待ってるわよ」
遥は笑顔で言った、そして中原も応えてだった。
実際に冬にクリスマスや新年のイベントがありそれに来る客達の為のアルバイトの募集に応えて採用してもらってだった。
ホテルで働きはじめた、それでそれが終わってから遥に三学期がはじまった時に話した。
「親父にもお袋にも妹にもな」
「成長したって言ってもらったのね」
「ああ、普段と違う場所で働くのもな」
「いいものよね」
「同じ業界でもな」
「本当にそうみたいね」
二人は笑って話した、高校生の時にそれを知ってだった。
二人はそれぞれいいホテルウーマン旅館の経営者になった、それは高校の時のそれぞれの経験が大きかったことは二人共が言うことだった。
ホテルと旅館 完
2022・3・20
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