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『外伝:赤』崩壊した世界で大剣豪とイチャコラしながら旅をする
復讐-にどあることはさんどある-
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やつの目の前で、動きを止める。
目の前にいる俺と武蔵を見て、山本はサブアームを伸ばそうとするがそれはもう動かない。
フル稼働を続け、機械自体が熱を帯び、熱くなりすぎて機能が停止したのだ。
いわゆるオーバーヒート。
俺と武蔵はそれを狙ったんだ。
「冷却装置も付けられていない。その腕も副作用を顧みず付けられたのだろうな。お前大丈夫か?葛城財団で人間として扱ってもらえているのか?」
「うる…サイ、貴様ごときが俺を見下…グアぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」
突然叫び声をあげる山本。
白目を向き、口が裂けそうな程開け、唾を撒き散らし悶絶する。
「あぁぁぁぁぁ!!!あつい!!!あついアツいあツイアつイアツイあついあついいいいいいいいいっ!!!!!!」
「…。」
砂浜でのたうち回り、背中の機械を取りたいと掻きむしる。
その度に血と膿が飛び散り、やつが暴れる周囲の砂浜は汚れた。
「…。」
刀を逆手に持ち、やつの眉間目掛け突き刺す。
ビクビクと強く痙攣はしたが、すぐに動かなくなった。
情け、という訳では無い。
ただただ見苦しいだけだ。
「…。」
「次はいいものを付けてもらえ。冷却装置もちゃんとついて、アフターケアも万全にな。まぁ…。」
「”次なんてないんだけどな”。でしょ?」
「ああ、そうだ。」
動かなくなった山本を一瞥し、上を見上げる。
鷹のように俺達の上を旋回している輸送ヘリ。あれは葛城財団のものだろう。
しかし着陸せず、こちらの様子を伺う限り敵意はないのか、どうなのか。
「撃ったりして来ないのかしら?」
「あくまで山本を運ぶためのものだったのかもしれない。武装は積んでおらず、降りてこないということは中にいるのも非戦闘員の可能性も高い。今のうちだ。逃げるぞ」
例の丈夫そうな箱を小脇に抱え、指笛を吹く。
そうすると嘶き、やってくるオロバス。
砂浜だろうがその健脚はなんの問題も無さそうだ。
「今のうちに行こう。応援を呼ばれないうちにな。」
「そうね。もうこんな厄介男、こりごりだもの。」
オロバスにまたがり、なるべく全速力でそこから逃げ出す。
「…。」
「大和くん?」
「どうした?」
「いや、難しい顔してるなーって。」
山本は確かに死んだ。
しかし、何故か不安が拭いきれない。
死に様も確認した。何より俺がトドメを指した。
眉間を貫いた。頭部をメッタ刺しにされて生きてられる人間なんていない。
だから何の心配もいらないというのに。
「いや、なんでもない。」
どういい方向に考えてもぬぐい去ることが出来ない不安を脳の隅っこに追いやり、俺は手綱を握り直した。
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