第二部 1978年
ミンスクへ
シュミットの最期
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ベルリンに来たソ連要人や党幹部に貢物として収める
噂では聞いていたが、その話が本当ならば……
自己の栄達の為に支配層に取り入り、守るべき国民を屠る
何が、有能な工作員だと言うのか
《野獣》という通り名、其の儘ではないか
体が燃え上がる様に熱くなる
「奴が抱えた被疑者は……」
男は、慨嘆する
「既決囚以外は、ボンにでも放り出せ……」
アスクマンが監視していた人間は全員恩赦の扱いにするように指示を出す
火のついたタバコを、右手で灰皿に置く
目頭を押さえ、椅子に腰かける
横から男の姿を見る
苦虫を噛み潰した様な顔で、肩で息をしている
無言ではあるが、明らかに怒りの表情が見て取れる
彼は、静かに同意した
「了解しました……」
苛立ちを隠すために、タバコを取り出す
火を点け、吹かしながら国防大臣に問うた
「戦術機の訓練校に居るアーベルの娘2人は、どうした」
男の言葉を聞いた国防相は困惑した
通産官僚ブレーメの娘は、一人だったはず……
激しい剣幕を見せる男
国防相は、たじろぐ風も見せずに、平然と答えた
「同志議長、未確認です」
「不逞の輩に誘拐される」
シュミットか、或いは、アスクマン
何方かが人質にとるかもしれない
最悪の事態を想定した
「万に一つの事があるかもしれん……。
使いを出して、坊主の傍にでも呼んでやれ」
男は、立ち上がった
「どちらへ」
「頭を冷やした後、3時間ほど休む。
何かあったら呼べ」
そう言い残すと、部屋を後にした
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