第一章
[2]次話
父は父
田中綾は最近上機嫌だ、それは彼女が応援するチームに彼女が大好きな人が監督に就任したからである。
「ビッグボス最高よね」
「あんた新庄さん好きね」
母の瞳は茶色がかった黒髪をポニーテールにしている卵型の顔と大きな明るい目と細く長い眉を持つ娘に言った、中二にしては背が高く足も長い。ジーンズとセーターというラフな服装がよく似合っている。
「本当に」
「だって恰好いいじゃない」
「その外見がいいの」
「もうファッションも発言もね」
「色々目立つ人なのは確かに」
「スタイルもいいし」
背が高く茶色がかった黒髪をショートにしている明るい目と細く長い眉を持っている母に対して話した。
「あれで野球への考えしっかりしてるし」
「意外と理論派みたいね」
「そういうところも好きなのよ」
「もう新庄さん命みたいね」
「ビッグボスね」
新庄の自称も出した。
「あの人最高よ」
「兎に角好きってことね」
「ペナントが楽しみよ、けれどね」
ここでだ、綾は。
父の太、分厚い唇と細い目に一七三程の背で色黒で太った彼を見て言った。
「お父さんと同じ歳なのよね」
「それがどうしたんだ?」
「いや、全く見えないわ」
父本人に言った。
「お父さんとビッグボスがなんてね」
「実際にそうだぞ」
「お父さんこんな外見なのに」
「これでも昔は痩せていたんだぞ」
「そうにしてもよ、いつも服は野暮ったいしね」
部屋着はジャージである、上下ダークグレーだ。
「そうだしね」
「そりゃあんな人と一緒にするな」
「ビッグボス恰好いいわね」
「あの人は昔からそうだからな」
ファッションがいいというのだ。
「年俸二千二百万で二千万の外車買ったりしてな」
「残り二百万ね」
「何かと大変だったらしいがな、そこから色々出るからな」
当然外車にもかかる。
「そうしたぶっ飛んだ面もあるしな」
「お父さん慎重よね」
「ああ、人間真面目が一番だろ」
「ああした人が最高なのに」
「あんな生き方そうそう出来るか」
新庄の様なそれはというのだ。
「宇宙人とさえ言われてるだろ」
「それがまたいいのよね、しかしね」
「しかし。何だ」
「お父さん見てたらつくづく思うわ」
実際に父を見て言う。
「同じ年齢とはね」
「思えないんだな」
「そうよ、お父さん太ってて野暮ったいし」
「慎重でか」
「そうよ、全く思えないわ」
「あんなぶっ飛んだ人と一緒にするな」
父はあくまでこう言う、だが綾はというと。
新庄ばかり見て父は野暮ったいだの太っているだの言って思春期の女の子そのものの態度であった。それでだった。
父は仕事から帰って妻にビールを飲みつつ話した。
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