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展覧会の絵
第三話 いかさま師その三
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歩いていた。普通科の二年の校舎の中を。その中であるクラスを覗いた。そこではだ。
 一組の男女が二つの机を使って向かい合って座って弁当を食べていた。そしてだ。
 女の子の方がだ。こんなことを言っていた。
「だから。それも食べないと駄目よ」
「トマトかよ」
「そう、トマトは身体にいいの」
 だからだとだ。女の子の方が言っていた。
「だから食べないと」
「俺トマト嫌いなんだよ」
 しかし男の方はあからさまに嫌そうな顔で言い返していた。十字はクラスの前の扉からその痴話喧嘩めいたやり取りと見ることになった。
 女の子の方は少し長めの黒髪を後ろで束ねている。目は少し縦長気味でどんぐりに似た形をしている。顔立ちはやや幼さが残る感じだがそれと共に気の強さもある。唇が小さく引き締まっている。鼻も高い。
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