暁 〜小説投稿サイト〜
冥王来訪
第二部 1978年
ミンスクへ
国都敗れる その3
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去る

 氷室美久は、この騒動をゼオライマーを通して見ていた
自分の主人の真意を(はか)りかねる……
彼女は通信機越しに、マサキに問いかけた
「何が為さりたいのですか……」
マサキは応じた
「俺が望むのはただ一つ、世界征服よ」
彼は不敵の笑みを浮かべる
「まず足掛かりとしてソ連を戦場にした世界大戦を引き起す。
東欧諸国を巻き込み、西側に迎え入れ、社会主義経済圏を破壊する……。
やがては経済的に孤立させ、核に汚染された大地を当てもなく彷徨(さまよ)わせる」
上空に転移し、浮遊させたゼオライマーより市街を睥睨(へいげい)する
所々燃え上がる市街……
ヘリやミサイルの残骸が火事を引き起こしたのであろう
「あの蛮人に相応しい、(かま)(くわ)で暮らせる原始共産社会……。
奴等を再び世界の孤児の立場に追い込む」
眼光鋭く、画面を睨む
「俺が、東ドイツの小僧を助けたのも、その亀裂を広げるための方策よ。
奴等は諜報(スパイ)戦の世界で、割れ目をこじ開ける方策を西側に仕掛けて来る……。
自分で味わうと、どうなるか……。
この目で見たくなったのよ」

「今日、手に入れた資料は複写して全世界にばら撒く」
彼女は困惑した
「それでは、世界中が混乱します。
御願いですから、お止めください」
彼は哄笑する
「CIAとゲーレン機関にだけ、限定してやるよ」
(あわ)てふためく彼女の様を見て、一頻り笑う
「この上で、シュタージファイルでもあれば、奴等を強請(ゆす)って小遣い稼ぎでも出来たかもしれんな」
ふと思いついたように言う
「俺は決めたぞ。
これより大使館を跡形もなく破壊した後、ミンスクとウラリスクを灰燼(かいじん)()す」
このゼオライマーの力を持って容易い……
彼は、続ける
「そうすれば、その戦力はすべて対ソ戦争とやらに使えるであろう。
嘗て列強が支那をパンケーキの様に切り取ったように、ソ連を細切りにして国力を減退させる。
その戦争で国力を疲弊させた各国を恫喝(どうかつ)し、ほぼ無傷の侭、我が手中(しゅちゅう)に収める」
その様に(うそぶ)
「この世界の人間どもを、BETA等という化け物の餌にするのは惜しい。
我が奴隷として、(かしず)かせる」
内に秘めたる黒い感情を吐露した
「想像してみよ、愉しかろうよ」
彼は心より、己が策謀を楽しんだ
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