暁 〜小説投稿サイト〜
冥王来訪
第二部 1978年
ミンスクへ
国都敗れる その3
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そうすれば、何かしらの工作の下地になる
彼はそう考えると、操作卓に指を触れる

 ベルンハルト中尉は、自分の判断を誤ったことを後悔した
9M17《ファーランガ》対戦車ミサイル(AT-2 スワッター/蠅叩き)が、連続して直進する
手動指令照準のミサイルの為、照準用レーダー波は発生しない
レーダー警戒装置は未検知……
つまり警告装置は作動しなかったのだ
飛び上がって避ければ、ソ連大使館へ直撃……
向きを変えれば、時間的に被弾する可能性も高い
突撃砲で迎撃するよう、背面に向けて、180度搬送腕(アーム)を曲げる
背中にある補助腕を展開させ、懸下した突撃砲を向けた
操縦桿を強く引き、火器発射ボタンを押す
突撃砲は勢い良く火を噴き、飛翔物を狙う
後方射撃を繰り返すが、思うように命中しない
二発、迎撃できたが……もう二発は通り抜けて来る
対戦車弾ですら簡単に損傷させる機体……
跳躍ユニットやコックピット背面に当たれば、助かるまい
しかも勝手知ったる平原や山岳地帯ではなく、市街地
不慣れな状況も、彼の心に動揺を与える
そうしている間に閃光に包まれた

 周囲の機体は、モニターより接近する飛翔物を見る
発射炎を上げ、接近する対戦車ミサイル
攻撃を察知すると、即座に散開した
一番機のベルンハルト中尉が光に包まれたのが見える
恐らく跳躍ユニットか、燃料にでも引火誘爆したのであろう……
彼等は、後方のヘリに意識を集中した
瞬間的に跳躍して、ヘリの上空に出る
有りっ丈の20ミリ機関砲弾を喰らわせた
十数機の戦術機より攻撃を受けたヘリは爆散
後方に居たヘリ数機は、高度を上げると引き返していく……


「射線上から回避しろ」
撃墜されたとばかり思っていた一番機からの通信が入る
急いで、散開すると一筋の光線が勢い良く通りぬけて行く
光線級の攻撃を思わせる、その一撃ははるか遠くにいるヘリに命中
機体を光線をかすって誘爆すると、全滅させた

 ベルンハルト中尉は困惑した
目前に居た機体が、一瞬にして後方に転移
その後即座に、大使館へ戻ったかと思うと自分の機体に覆い被さるよう佇む
50メートルは(ゆう)に有る機体が、瞬間移動……
信じられなかった……
唖然とする彼に、マサキは話し掛けてきた
「これも、ゼオライマーの力の一部にしか過ぎん。
貴様等が首魁(しゅかい)が居る、共和国宮殿。
焼ける姿が見たいか」
不敵の笑みを浮かべ、彼を煽り立てる
「その代わり、俺と共にソ連を焼き払う……
文句はあるまい」
困惑をしていると、なおも続ける
「貴様にその意思があるならば、俺は喜んで手を貸そう」
マサキは哄笑した後、こう吐き捨てた
「楽しみに待っているぞ」
そう言い残すと、面前の機体は消え
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