第二章
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「私そういうの嫌だし」
「そのこともあってなの」
「そうよ、ちゃんとね」
「姉妹で分けるの」
「血がどうとか言わないの、いいわね」
「そうなの」
「そうね、理穂子の言う通りね」
理香子は上の娘のその言葉に頷いた。
「理美もうちの娘でね」
「家族だから」
「それにお金のことは揉めるから」
理穂子の言う通りにというのだ。
「だからね」
「それでなのね」
「あんたも貰っておきなさい」
「それじゃあね」
「じゃあ詳しいお話をしましょう」
そこから一家三人でその遺産や保険金を分けた、法律に定められた通りにして話はあっさりと整った。そうしてだった。
一家はそれからも仲良く暮らし姉妹はそれぞれ結婚し家庭を持ってからも仲良く暮らした、母はそんな娘達を見て二人に話した。
「お金のことで揉めたらね」
「後に引くわね」
「そうなるわね」
「だからお父さんが亡くなった時もね」
この時のことをここで話した。
「あっさり整ってよかったわ」
「だってね、お金で揉めると嫌じゃない」
理穂子はここでもこう言った。
「それであの時理美が血がつながってないとか言ったけれど」
「押し通したのね」
「どんな額でもお金はお金でしょ」
揉めると尾を引くというのだ。
「そうしたお話知ってたからよ」
「あの時あんた強く言ったのね」
「この娘にね」
妹を見つつ母に話した。
「それでよかったと思ってるわ」
「そうね、貰ってよかったわ」
理美も今はこう言えた。
「あの時それで貰ってなかったら」
「変なしこりになってたでしょ」
「そうよね」
「血がつながってるとかつながってないとかでなくてもね」
「一緒に暮らしてたら家族よね」
「そうだしお金で変な揉めごとを起こさない」
これがというのだ。
「大事だからね」
「私もなのね」
「そうよ、本当にあの時分けてよかったと思ってるわ」
「その通りね、だから今も家族仲よくやっていけてるのよ」
母も笑顔で言った、一家はそれからも別に揉めることなく仲よく過ごしていった。幸せな家族としてそうしていった。
血はつながっていなくても遺産は 完
２０２２・３・１８
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