第一章
[2]次話
厚かましいにも程が
この時桑田俊彦は苦い顔をしていた、そうして両親に言った。地元の高校に通う黒髪を短くした面長の顔の少年だ。背は一七四程でテニス部に入っていてすらりとしている。
「叔父さん今日来るの」
「ええ、さっき電話があったのよ」
黒髪を後ろで束ねた初老で皺が目立つ顔の母の照枝が高校生の息子に応えた。
「今日行くってね」
「相変わらず行っていいかじゃないんだ」
「行く、よ」
「自分の家じゃないのに」
「全く、兄弟でもな」
父の晴彦は苦い顔で言った、眼鏡をかけているが息子に遺伝を受け継がせている顔と体格を持っている。
「遠慮しろ」
「そうだよな」
「兄貴でもな」
父はその来る者と自分の血縁関係の話もした。
「俺の家だからな」
「そんな遠慮せずにな」
「来られても困るんだがな」
「そうだよな」
「全く、お袋が甘やかすから」
「昔からああなんだよな、祖母ちゃん」
「そうだ、長男の兄貴ばかりな」
父は我が子に話した。
「べたべたとな」
「甘やかしてか」
「働いてないのに金渡してな」
その叔父は実は無職なのだ。
「離婚した時もな」
「ああか」
「だからだ」
「叔父さん今もうちに来るんだ」
「それでお袋から金貰ってるんだ」
「うちにお邪魔しますとも言わないであがってか」
「大飯、夜に四杯朝に三杯おかずもたらふく食ってな」
食べるご飯の量も話した。
「風呂入っていい布団出させて寝てな」
「帰るんだな」
「お前や俺の部屋に勝手に入って本も漁ってな」
「来るなよな」
「そう思うがお袋がいるからな」
甘やかす人間がとだ、一家三人でこう話してだ。
やけにふんぞり返った面長でレイバンの様なサングラスをかけた一七二位の背のやや茶色ががかった髪をセットした腹の出た男を家に入れた、そしてその男俊彦から見れば叔父になる和彦をだった。
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