暁 〜小説投稿サイト〜
DOREAM BASEBALL 〜夢見る乙女の物語〜 
パーフェクトリリーフ
[3/4]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
れれば……)

塁にランナーがいる状態で岡田に回ればそこから繋がることは十分に考えられる。しかし、その期待を裏切るように瑞姫のストレートに打者は振り遅れる。

「うぅ……グスッ……」

離れた点差、捉えるビジョンが見えない相手投手、翼星のベンチからは選手を鼓舞する声がほとんど聞こえず、すすり泣く音が聞こえてきていた。

「まだ終わってないよ!!声出して!!」

キャプテンである岡田が声を張り上げるがそれでも状況は変わらない。前の回から二者連続となる空振り三振により1アウトを献上した。

「タイム!!代打お願いします!!」

もう後がない翼星は代打をここで送る。体格こそいいものの、その構えから莉愛は警戒などしてなかった。

(グリップの位置が低い。フォークを意識しているのかはわからないけど、これじゃあ高めのストレートに合わせられないでしょ)

案の定高めのストレートにバットが付いていかず空振り。それにより今度はトップの位置が上がったことも見逃さない。

(バッティングがいいならもっと早く出てきてたはず)

今度は低めにフォークを入れこれも空振り。続く三球目も高めのストレート。何とかバットに当てたものの打球はキャッチャーへのファールフライとなった。

「2アウト!!」
「あと一人だよ!!瑞姫!!」

最終回2アウトランナーなし。打席には前の打席でタイムリーを放っている岡田が入る。

「ふぅ」

まさに断崖絶壁の状況。それでも岡田は冷静さを失わずに打席に入っていた。

(すごい……これじゃあ慎重にいかざるを得ないよ)

マウンドに上がってから一人の走者も出していない瑞姫。それほどまでに好調な彼女でもこのバッターには丁寧に行かなければとまずは外のボール球から入る。

(しっかり見てきた。やっぱりこの落ち着きはハッタリじゃない)

手を出してもおかしくないボールも冷静に見送るその姿に感心する。それでも彼女を抑えることが必要不可欠なことはよくわかっていた。

(岡田さんが塁に出たら掻き回されかねない。この人で絶対終わらせる!!)

次は内角へと切り込んでくるスライダー。ストライクだったため振りに出るが一塁線を割ってファール。

(次はストレート。それも内角に攻める)

内のスライダーの後に今度は速い球。バットの出が少しでも遅れれば凡打は必須。しかし岡田はギリギリまでヘッドを返すのを耐えてファールにした。

(テクニックも高い。でも追い込めた!!)

最後のボールは決めていた。瑞姫の決め球でありラストボールに相応しいボール。

(最後はフォークだと思う。ストレートにタイミングを合わせながら遅ければ見送る)

2アウトでストライクカウント的にも追い込まれている状況
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ