新しい使い魔
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生と見違えるほどの小柄な体形に、腰までの長い銀髪。可愛らしい顔つきの彼女の顔を見て、ココアの顔が明るくなる。
「チノちゃん! おはよう」
「全く。春休みだからって寝坊助なんて。本当にココアさんは、仕方ないココアさんです」
朝からの容赦ない物言いに、ココアが「うっ」と小さな悲鳴を上げる。
「ココアさん、速く仕事覚えてください」
「ウッ」
「コーヒーの味覚えてください」
「ウッ」
「もうやめてあげて!」
見てわかるほど言葉の槍に突き刺さっていくココアが、ハルトの前で崩れていく。
「チノちゃん……お外走ってくるううううううう!」
ココアが泣き叫びながら、部屋を飛び出していった。
唖然として彼女を見送ったハルトは、諭すようにチノへ提案する。
「もう少し優しくしてあげてもいいんじゃない?」
「いいえ。私はココアさんにとって我が子を崖の下に落とすライオンです。本当にできたときに、笑顔を向けてあげればいいんです」
「そういうものかな……? さて。俺もそろそろ行こうかな。チノちゃんたちも、春休みだからって怠けちゃだめだよ」
「ご安心下さい。私はどこぞのココアさんと違ってしっかり者ですから。ハルトさんも、今日午後からのシフトはお願いしますね」
「はいはい」
本当はその時間まで寝るつもりだったんだけどな。
心の中でそう思いながら、ハルトはホールを通り抜けて外に出る。
ラビットハウス、その看板が頭上に見えた。ティーカップとウサギが並んでいる看板は、この五か月でハルトにはすっかり馴染みのものとなっていた。
「ほらほら。頑張って」
可奈美の声が聞こえてきたのは、ラビットハウスのすぐ外。
川のせせらぎが耳に心地よいその場所で、可奈美は蹲って地面にゴーレムを立たせていた。
「いた。可奈美ちゃん」
「あ、ハルトさん!」
可奈美は、ハルトの姿を見てニッコリとほほ笑んだ。
「うん。ほら、ゴーレムちゃん、もう立って歩けるようになったんだよ!」
「赤ちゃんか! ……大丈夫? ココアちゃんには見られてない?」
「ココアちゃん? さっきものすごい勢いで走っていったよ? 気付いてなかったみたいだけど、何かあったの?」
「チノちゃんのいつもの攻撃に耐えられなくなっただけ。さて。それじゃあユニコーン、お願い」
ハルトの命令に、ユニコーンが嘶く。
ゴーレムの前に着地し、会話するように顔を下げている。
だが、ゴーレムはきょとんとした顔で、ユニコーンを見返していた。
「ゴーレムちゃん、大丈夫?」
「うーん……この流れじゃあ、俺も何も言えないかな」
ハルトは頭を掻いた。
やがてゴーレムは、ユニコーンからハルト、可奈美へ目を移す。
「どうした?」
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