第四十四話 麦わら帽子を買いながらその十
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「本当にラノベか漫画読むべきよ」
「そっちの方がいいわね」
「オウムの教祖を最も浄土に近いとか言う馬鹿の本なんか読んでも時間の無駄よ」
「何にもならないの」
「面白くないしそこから得るものもね」
「ないのね」
「全く面白くなくて得られるもの一切なしよ」
それこそというのだ。
「だからね」
「読む価値なしね」
「そうよ」
それこそというのだ。
「だから私思想書はね」
「読まないで」
「それでそういうの読んでるのよ」
「特に吉本隆明の本は読まないのね」
「読まなくても死なないわよ」
愛は笑って言い切った。
「そうでしょ」
「そう言われるとね」
「でしょ?だったらね」
「読まなくてもいいわね」
「だから読まないの」
「そういうことね」
「あんなのの本読むよりこれから」
愛はここで正面を向いて言った。
「いいわね」
「麦わら帽子ね」
「それ買いましょう」
「そっちの方がずっと大事ね」
「そう、吉本隆明の本は何の価値もないけれど」
「その主張もなのね」
「一切価値はないのよ」
こうまで言うのだった。
「そう、けれどね」
「麦わら帽子は価値があるのね」
「日差しや熱中症を防いでくれて」
そうしてというのだ。
「そしてね」
「お洒落にもなるわね」
「そう、だからね」
それでというのだ。
「これからね」
「麦わら帽子買うのね」
「そう、お金は使うべきものに使わないと」
さもないと、というのだ。
「無駄に使っても仕方ないわ」
「ギャンブルとかがよね」
「馬鹿な思想家の本もそうでね」
「そうしたものに使うよりも」
「そう、麦わら帽子買いましょう」
「それじゃあね」
咲も笑顔で頷いた。
そのうえで二人で帽子を売っている店に入った、そこには夏が近いこともあってだった。
麦わら帽子もあった、咲は愛と共にその麦わら帽子商品であるそれを見ていった、そうしてこれはというものを見ていって。
そのうちの一つを見て愛に言った。
「これね、赤いリボンがいいから」
「それにするの」
「そうするわ」
「いいわね、じゃあ私はね」
愛は黄色いリボンが付いたものを手にして言った。
「こっちにするわ」
「そうするのね」
「ええ、黄色好きだし」
この色がというのだ。
「リボンのデザインもね」
「いいから」
「これにするわ」
咲に笑顔で話した。
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