第四百九十一話 迷宮カンパニーからその三
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「何か用かな」
「そうか、ちょっと話したいことがあるんだけれどな」
「そう言う貴殿はどなたでしょうか」
御成は青年に問うた。
「一体」
「二ノ宮キンジだ」
青年は自ら名乗った。
「ついでに言うがこっちの世界の人間じゃない」
「といいますと」
「ああ、他の世界から来た」
二ノ宮は自らこう語った。
「俺はな」
「やはりそうですか」
「やはり。あんた達もわかっているか」
「はい、これまでの方もそうでしたので」
御成は落ち着いた声で答えた。
「特に驚くことはありません」
「なら話が早いな」
「早速皆呼ぼうぜ」
ユルセンがこう言ってきた。
「そうしようぜ」
「そうだね、じゃあね」
「ああ、連絡するな」
「そうするよ」
天空寺が応えてだった。
早速仲間達が集められ二ノ宮とお互いに話をした、その後でだった。
御成はお互いの話が終わったところで唸って言った。
「いや、貴方も色々ありますな」
「全くだ、不意に来た世界で折角会社を経営してだ」
二ノ宮が不機嫌そうに答えた。
「借金もなくなったと思ったらな」
「そこで、ですな」
「採掘現場の迷宮に怪人達が出てだ」
そうしてというのだ。
「採掘の邪魔をしてきてその都度追い払っていたらな」
「そこで、ですな」
「あいつが出て来た」
「スサノオが」
「そうだった、何かバッタと人間を合せた白いでかい姿だった」
二ノ宮はその時のスサノオの姿も話した。
「それで神だとか言ってきやがった」
「そうなのですか」
「ああ、あと怪人だけれどな」
二ノ宮は御成に彼等のことも話した。
「白い姿で生きものと人の間の子みたいな、な」
「オルフェノクですね」
「スサノオはそう言っていた」
「よくわかりました、あの敵ですか」
「知ってるんだな」
「はい、何しろ拙僧達はです」
御成は二ノ宮に穏やかな笑顔で答えた。
「スサノオと戦ってきているので」
「それでだな」
「あの神のことはよく知っているつもりで」
それでというのだ。
「その姿の時もオルフェノクのことも」
「よく知っているんだな」
「そのつもりです」
「そこでつもりって言うのは謙遜だな」
二ノ宮は御成のその言葉をにやりと笑って指摘した。
「実はよく知っているな」
「そう言われますか」
「ああ、そっちのおっさんが言うと胡散臭いがな」
仙人を見ての言葉だ。
「あんたが言うとな」
「信じてくれますか」
「そっちのおっさんは相当胡散臭い」
仙人を見たままさらに言った。
「だから信じられないな」
「よくわかってるな」
「そうよね」
ユルセンとアカリは二ノ宮のその指摘に顔を向き合わせて頷いた。
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