暁 〜小説投稿サイト〜
冥王来訪
第二部 1978年
ミンスクへ
国都敗れる その2
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ったであろうか…… 
 
 国都ベルリンの騒乱は、米軍にも察知された
核戦力の相互確証破壊(Mutual Assured Destruction/MAD)……
1965年に、当時の米国務長官が公式に表明した政治的表現
米ソ両国は、一方から大規模な核攻撃を受けた場合、相手国を確実に破壊できる報復用の核戦力を保持
見つかりにくいSLBM(submarine-launched ballistic missile/潜水艦発射弾道ミサイル)の形で用いる
この『恐怖の均衡』ともいうべき状態にあって、彼等は動けなかった
一応、東独政権首班から連絡があれば、人道部隊と言う事で動くことも検討されていたが……
対BETA戦争という熱戦と東西思想戦という冷戦
この二正面作戦を行う米国に在っても、世論の反応は捨てがい……
空襲警報の鳴る西ベルリンに在って、彼等は受動的な態度を取る事に決めた

 東ドイツ首脳部は、ソ連大使館の対応に苦慮した
偶発的な事故として始まった市街戦……
ソ連本国とのホットラインを繋ごうにもBETA戦で通信インフラは壊滅
はるか極東のハバロフスクへの連絡にも一苦労する状態……
米大使館や、先の米ソ会談を主催した英政府に連絡を入れ、対応を待つ
宮殿の傍は既に国籍表示の無いの戦車隊が鎮座している
囲まれてはいないが、何かあればただでは済まないであろう……

 臨時閣議中、衛兵が入ってくる
「失礼します。見慣れぬヘリ数機が近寄ってきていますので、退避の準備を……」
国防大臣が、問う
「短翼、腕の様な物が付いているのか」
「ミサイルと思しき筒の様なものを吊り下げてます」
大臣は立ち上がる
「ソ連の新型攻撃ヘリだ。ここに乗り込む算段だ」

 議長は立ち上がる
「近隣の部隊は……」
「防空部隊も戦車隊も、出動要請を掛けました」
窓際では狙い撃ちされる……
大ホールも薄壁一枚で打ち抜かれたら一溜りもない
精々アスベストが粉塵として舞うぐらいだ
そう考えた彼は、行動に出る
「一旦、奥に逃げるぞ。ここでは不利だ」
彼へ、国防大臣が耳打ちする
真剣な表情で聞き入った後、彼は着席する
そして、暫し悩んだ後、こう告げた
「もしもの事を考え、国防相、外相、首相以外は、この場から退避しろ」
政治局員が、声を掛ける
「明日の政治局会議は如何致しますか、同志議長」
彼は、最悪の事態を想定して動いた
「我々が不在でも対応できるよう、計らえ」

『政治局会議』
週一回という限られた時間で、国政全般の諸事項を決定する東ドイツの最高意思決定機関
その実態は、中央委員会所属の41部局が情報収集
官僚が作成した原案に部分修正を加え、事後決定する場でしかなかった
 
 会議室から閣僚と政治員を逃した後、彼
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