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冥王来訪
第二部 1978年
ミンスクへ
国都敗れる
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は、1946年4月末に共産党に吸収合併され、SED(ドイツ社会主義統一党)になった
目の前の男は、国禁の自由政党を復活させようとしているのだ
「正気かね……」
悠々と煙草を燻らせる
「俺も策はある。今は下野してSPDは野党だから工作がしやすいのよ。
目立つ人物を連れてきて、若手官僚を引っこ抜いて党の支部を作りたい」
「何故だね」
再び、灰をはじく
「此の儘、自由社会に入って見ろ。今のガキ共は指示待ち人間だ。
あっと言う間に、西の連中に弄ばれて、男は乞食、女は娼婦の真似事をするやもしれん。
俺は、そんな姿、視たくは無い」
男は、振り向く
「お前さんの娘も、そんなことにはさせんよ」
彼は再び腕を組んだ

 男達が密議をしていると、ドアがノックされる
許可を出すと、息も絶え絶えの人民警察大佐が入ってきた
明るい緑色で、陸軍制服に似た意匠(デザイン)の制服を着て、胸には略綬が下がっている
「議長、退避下さい。危険で御座います」
男はタバコを握ったまま、腕を組んだ
「まさか、戦術機でも出たのか」
「日本軍の大型戦術機がソ連大使館に出現しました」
彼等は、驚嘆した
「まさか、ゼオライマーが……」
アーベルは、眼鏡を持ち上げた
「ゼオライマーとは何かね……」
男は驚きのあまり、タバコを持った手で彼を指差した
「例の、支那で大暴れした機体だよ」
男は、人民警察大佐の方を向く
「同志大佐、君は急いで、近隣住民の安否確認を所属する警察部隊にさせよ」
人民警察大佐は、敬礼すると、大急ぎで駆けて行った
男は、室内にある電話を取ると、ダイヤルを回す
通話が始まると、次のように告げた
「米大使館へ電話を入れろ」
電話を一旦(いったん)切ると、受話器を置く
彼の方を向いて、こう告げた
「お前さんは、一旦家に帰れ。
申し訳ないが、今から緊急閣議だ」
彼は頷く
「最後に、言っておくが茶坊主共が何をしでかすか、解らん」
ソ連の茶坊主と呼ばれるモスクワ一派
その首領格のシュミット保安少将……
策謀に気を付ける様、男は彼に釘を刺した
「女房と、娘さんは何処か、頼れるところに預けさせる準備でもしておけ」
彼は顎に手を置く
「娘は、軍の学校に居る」
「そいつは安心だ」
彼は右手を上げる
「一旦寝に帰ったら、また来る」
男も右手を上げて応じる
「お前さんも無理するなよ」
「お互い様であろう」
彼は、ドアを閉めて通路に出る
急ぎ足で警備兵の案内を受け、宮殿を後にした
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