第四十四話 麦わら帽子を買いながらその五
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「そう言われてるの、けれどね」
「けれど?」
「その逆って意見もあるのよ」
「っていうと縁の切れ目がお金の切れ目ね」
咲はその逆の言葉を自分で出した。
「そうよね」
「そう、太宰治の作品であった言葉よ」
「太宰なの」
「あの人の作品って印象的な言葉多くてね」
それでというのだ。
「他にも色々あるけれど」
「そうした言葉もあるの」
「それでこの言葉ってね」
「縁が切れるとなの」
「人とね、まあそこで自棄になって散財して」
大切な人と別れた辛さを忘れる為にというのだ。
「お金もなくなる」
「そうした意味なの」
「私はそう考えてるの」
「そうなのね」
「まあそれはね」
このことはというのだ。
「実際はどうかわからないけれど私はね」
「お姉ちゃんとしては」
「太宰のこの言葉もあるってね」
「考えてるのね」
「太宰の言葉って結構その通りってのがあるのよ」
「そうなの」
「あの人は色々言われてる人だけれどね」
その人生や考え方についてだ、彼程言われる日本の作家もそうはいないであろうか。
「その作品は読みやすいしね」
「そういえばそうね」
咲もこれまで太宰の作品を読んでいて話せた。
「確かに」
「それでその言葉もね」
「読みやすくて」
「そしてね」
そのうえでというのだ。
「心に残るのよ」
「それで今も私にお話してくれるのね」
「そうなの、読んで損はないわ」
太宰の作品はというのだ。
「人生の糧にもなるわよ」
「そこまでの人なのね」
「他にもそうした人いるけれどね」
作家にはというのだ。
「太宰はね」
「特になのね」
「私にとってはそうよ」
「そうなの」
「中学から結構読んだのよ」
「そうなの」
「芥川も漱石も鴎外もね」
愛は純文学において代表とされる作家達を挙げていった。
「志賀直哉も武者小路実篤もね」
「白樺派ね」
「有島武郎だってね」
愛も白樺派と言われてさらに言った。
「読んだわ」
「お姉ちゃんも読んでるのね」
「川端康成も横光利一も三島由紀夫もね」
「結構読んでる」
「そうかしら。けれど何か三島とか谷崎とか永井荷風とか泉鏡花とか」
愛はここでこうした作家を挙げていった。
「耽美系の作家さんがね」
「お姉ちゃん好き?」
「耽美もいいわよ。妖怪とかも純文学よ」
「そうなの」
「小泉八雲だってね」
ラフカディオ=ハーン、ギリシアからアメリカに移り日本に心の底から魅せられ終生愛した彼もというのだ。
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