第四十四話 麦わら帽子を買いながらその四
[8]前話 [2]次話
「それを選んでね」
「かけてるのね」
「ええ、それで今は二つ持ってるけれど」
それでもというのだ。
「いいのがあったらね」
「もう一つ買うの」
「そうするかもね」
「そうなのね」
「サングラスは目を守ってくれてね」
強い日差しからそうしてくれてというのだ。
「それでお洒落でもあるから」
「だからなのね」
「幾つか持っていてもね」
「いいのね」
「そう、だからね」
それでというのだ。
「いいのがあったらね」
「買うのね」
「そうするわ」
「それじゃあお姉ちゃんも探すのね」
「今からね」
笑顔で言ってそうしてだった。
愛もまた探した、だが彼女は買わなかった。それで咲がサングラスを買ってから彼女に店を出てから話した。
「今日はね」
「なかったのね」
「あるにはあったけれど」
気に入ったデザインのサングラスがというのだ。
「けれど高かったから」
「ああ、値段の関係ね」
「それを買ったらね」
いいと思ったサングラスがというのだ。
「麦わら帽子危ういから」
「だからなの」
「そう、今はね」
「サングラス買わなかったの」
「そうするわ、お金は限りがある」
愛はこの言葉も出した。
「それはどうしてもあるでしょ」
「何時でもね。好きなだけ使えるなんてね」
咲もそれはと答えた。
「ちょっとね」
「ないことでしょ」
「お金って何かね」
咲はさらに言った。
「あればあるだけ使うわね」
「そうしたものよ、お金ってね」
愛は咲の今の言葉にその通りだと答えた。
「あればね」
「あるだけ使うのね」
「節約しようと思っていても」
例えそう考えていてもというのだ。
「けれどね」
「使っちゃうのね」
「というか使う機会がね」
その時がというのだ。
「来るのよ」
「そうしたものなのね」
「世の中不思議なものでね」
「お金ってあればある程なのね」
「使う機会が増えてね」
そうなってというのだ。
「使うものなのよ」
「そうしたものなのね」
「それがお金の不思議なところよ」
「あればあるだけ使っちゃう」
「そう、そしてね」
愛は麦わら帽子が売られている帽子の店に咲を案内しつつ彼女にさらに話した。言葉は闊達なものだった。
「お金の切れ目が縁の切れ目って言うでしょ」
「そう言うわね」
咲も頷いた。
「よく」
「お金がなくなったらね」
「その時はなのね」
「人も離れるの」
そうなるというのだ。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ