第四十四話 麦わら帽子を買いながらその一
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第四十四話 麦わら帽子を買いながら
咲は愛と共に麦わら帽子とサングラスを買いに行った、買いに行ったのは新宿の駅前の百貨店だったが。
どちらもかなり安かった、それで咲は驚いていた。
「これは安いわね」
「安い時を選んだのよ」
愛は咲ににこりと笑って答えた。
「あえてね」
「そうしたの」
「夏ものの安売りのね」
そうしたというのだ。
「時を狙ってね」
「来たのね」
「バーゲンだともう争奪戦になって」
それでというのだ。
「大変だけれど」
「普通の安売りの時はなの」
「そこまでいかないから」
「買えるのね」
「もうね」
愛は咲にさらに話した。
「こうした時に買ってこそよ」
「いいのね」
「しかもこの百貨店質がいいから」
商品の質がというのだ。
「いいのよ」
「じゃあ今から選ぶのね」
「麦わら帽子もサングラスもね、あと電車の中で咲ちゃんちらりと言ったけど」
愛は咲を見て言ってきた、ファッションは相変わらず派手である、だがよく見ればガードするところは確かにガードしている。
「今度合コン行くの」
「そうなの」
咲は正直に答えた。
「クラスの娘達と一緒にね」
「同じ学校の子達とするのね」
「そうなの、相手はまだ決まってないけれど」
それでもというのだ。
「普通の子達とね」
「そうなのね、いいじゃない」
「いいの」
「そう、合コンも経験のうちよ」
愛は咲に笑って話した、様々な店や商品が並んでいて多くの客が行き来している百官店の中を一緒に歩きながら。
「だからね」
「行くといいのね」
「ええ、ただね」
「ただ?」
「付き合うにしても相手の子はね」
くれぐれもという口調であった。
「慎重に選んでね」
「そうしてなのね」
「付き合ってね、本当に変な子だったら」
「付き合ったら大変ね」
「どうしようもないのだったら」
そうした男と付き合えばというのだ。
「自分が不幸になるから」
「悪い男には引っ掛かるなっていうのね」
「中には女の人を子供産ませる道具にしか思っていない人もいるから」
「そんな人もいるの」
「いるわよ、人は利用するだけで」
愛はこのことを真顔で話した。
「それでよ」
「利用するだけで」
「そう、もうね」
それこそというのだ。
「女の人もそうして扱って他の人もね」
「そうして扱うの」
「道具としてね、そんな人とは付き合わないことよ」
「さもないと自分が嫌な目を見るのね」
「そうよ、だからね」
「そんな人とは付き合わないことね」
「悪い男ってのは暴力やギャンブルや酒乱や麻薬だけじゃないの」
そうしたものに限らないというのだ。
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