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展覧会の絵
第一話 キュクロプスその十三
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わりのある組織や人間がですね」
「学園にしろどんな世界にしろ」
 十字は淡々と述べていく。テレビで報道されている凄惨な処刑を聞きながら。
「あらゆる世界はその世界だけで成り立ってはいないからね」
「様々な世界が重複的、かつ交差して存在していますね」
「そう。そしてその外の世界にも腐った輩はいて」
「中にも腐った林檎がありますね」
「それを見極めるよ」
 十字は静かに述べた。
「そしてそうした輩がいれば」
「容赦なくですね」
「処刑が執行されるんだ」
 その処刑は当然だという言葉だった。そうしてだ。
 このことを述べてからだ。十字はパンを食べ終え野菜ジュースを飲みだ。
 そのうえでだ。神父に述べた。
「それではね」
「今からですね」
「歯を磨いて学園に行くよ」
「ではその場所で」
「見てみるよ。さらにね」
 学園の中の腐ったものを。それをだというのだ。
 こう言うと共にだ。さらに言う彼だった。
「後は」
「腐ったものだけを御覧になられるのではなく」
「清らかなものも見てくるよ」
 人の中にあるそれをだ。見るというのだ。
「人には両方あるのだから。だからこそね」
「ではその中には愛もありますね」
「うん。愛は最も清らかなものであり」
 さらにだ。言葉を続ける十字だった。
「そして最も醜いものは」
「その愛を汚すことですね」
「そうした輩こそが処刑されるべき輩なんだ」
 十字に炎が宿った。白い炎が。
 それを宿らせたままだ。彼は学園に向かう。そうしてだった。
 彼は白い詰襟の制服で学園に向かう。そこには何一つとして醜いものはない。だがその中においてだ。彼はあまりにも苛烈で凄惨な炎を身にまといつつだ。そのうえで今日も学園に向かうのだった。


第一話   完


                   2012・1・4
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