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SHUFFLE! ~The bonds of eternity~
第三章 〜心の在処〜
その四
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 難しい問題だ。そもそもこれといった答えが無い。十人に聞けば十通りの答えがある。十人十色、人それぞれだ。しかしこの場合、それでは意味が無い。ならばどうすればいいか?

(結局の所、自分の経験を話すしかないか)

「そうだな、まずは……」

「……まずは……?」

「話すこと、だろうな」

「……話す……?」

「ああ、別に何でもいい。好きな食べ物、とか好きな動物、とかな。本当に何でもいい。まずは話すことだ」

 それは稟が幼い頃、楓や桜、柳哉と友達になろうとした時に実際にやったことだ。人見知りが激しく、家族や桜以外とはほとんど話さなかった楓と。心を許した相手にはよくなつくが心を許していない相手に対しては消極的になる桜と。そして、寂しがりのくせに人を寄せ付けない雰囲気を放っていた柳哉と。

「……やってみる……」

「ああ、まずはチャレンジだ」

 そんな二人を柳哉が優しい目で見ていた。


          *     *     *     *     *     *


 芙蓉家の玄関前。

「あー、プリムラ」

「……何……?」

「先に戻っててくれるか?」

「?」

「楓には少し遅くなるって伝えといてくれ」

 プリムラは首を(かし)げていたが、すぐに頷き、家に入っていった。

「場所を変えよう。緑公園でいいか?」

「ああ」

 二人の行動を見て察した柳哉が提案し、稟がそれに答え、そのまま緑公園に向かって歩き出す。その道中、二人の間に会話は無かった。
 緑公園に到着。稟はブランコに、柳哉はその柵に座る。四日前の夜と同じだ。

「……」

「……」

 両者共に無言だが、二人にははっきりとした違いがある。稟はどう切り出そうかを考えており、柳哉はそんな稟を静かに見ている。やがて稟が口を開く。

「聞きたいことが、いくつかあってな……」

「ああ。楓のことと、プリムラのことだろう?」

 やはり気付いていた。この幼馴染の察しの良さ、勘の良さはどういうことなのだろうか。

「ああ、まずは楓のことなんだが……」

「一昨日の夜、楓に何をしたのか、か」

 頷くことで肯定する。

「その前に、だ。あの後どうなったのかを聞いてもいいか?」

 稟は少し逡巡(しゅんじゅん)したものの、すぐに話し始めた。


          *     *     *     *     *     *


「そうか」

「ってやけにあっさり言うな?」

「まあ、あの様子なら楓はもう大丈夫だろうって思ってたしな」

「ああ、で?」

「大したことはしてないんだけどな」

 稟に促され、柳哉も話し始める。


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