番外編 彼らを真に救う者達
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。APはそんな彼の泣き言など意に介さず、何も得られなかった自分の手に視線を落としていた。
「……ッ!」
「アビビィッ!」
差し伸べた手は、空を掴むのみだった。彼らを救うことは、出来なかった。だが、今は立ち止まっている時ではない。
せめて今は、今の自分に出来ることを成し遂げていくしかない。APはその決意を新たに勢いよく振り返り、シオマネキングに渾身のパンチを叩き込む。
「吾郎さんッ!」
「あぁ! 行くぞサダト君! トォオッ!」
「トォオッ!」
激しく転倒した彼はすでに、Gとの戦いで消耗し切っているようだった。偉大なる先輩の隣で力強く拳を握り締めたAPは、彼と共に地を蹴り宙に飛び上がる。
そして空中でベルトのワインボトルを捻り、同時に身体を回転させながら飛び蹴りの姿勢に入るのだった。
「スワリングゥッ!」
「ライダァアァッ! ダブルッ! キィィックッ!」
「アビビ、ビビィイッ!」
シオマネキングは必死に泡を吹き付けて迎撃しようと試みるが、急速に回転する2人のキックはそんな攻撃など容易く弾き飛ばし、怪人の胸目掛けて突き進んでいく。
やがて容赦なく炸裂したその一撃が、シオマネキングの身体を激しく吹き飛ばしたのだった。世界の平和を守り抜くために戦い続けて来た男達にとって、発火性の泡など児戯にも値しないのである。
「アビビビィ……ァァァァアッ!」
それから間もなく、怪人は奇怪な断末魔と共に爆散してしまう。その光景を見届けたGは、あの3体の怪人を逃してしまったAPをじっと見つめていた。
「……彼らから感じていた違和感。君も、気付いていたようだね。サダト君」
「えぇ……すみません、吾郎さん。俺の言葉では、彼らを説き伏せることは出来ませんでした。俺達の他にも、彼に手を差し伸べられる仮面ライダーがいれば……」
「そうだね……でも、それは僕達のような改造人間を増やしてしまうということでもある。僕は、せめて君が最後の1人であって欲しいと願っているよ」
「……はい」
強化外骨格による仮面ライダーの再現を目指す、「ライダープロジェクト」の基礎概念すら生まれていなかったこの当時は、「仮面ライダー」という戦士は改造人間であることが前提となっていた。
(それでも……俺は信じたい。彼らにも人として手を差し伸べてくれるような……そんな仮面ライダーが、いつか現れると)
それ故にGとAPは、共に肩を並べて戦う仲間を求めたくとも、求められなかったのである。
――この後。逃げ出した3人のフィロキセラ怪人達は同じ境遇の被験者達と身を寄せ合い、共に生きていくための自助組織を創設したのだが。
その組織がやがて「ノバシェード」と呼ばれる業魔の軍団と化すことになろうとは、彼らすら
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