第20話 人間の自由と、平和のために
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その意図と機能に気付いた彼女は、マティーニが最も無防備になる瞬間を狙い、ロープアームから鉤爪を飛ばしていたのである。
その鉤爪でベルトを操作することで、キックの出力をゼロにするために。
「遥花お嬢様……!」
「番場、遥花……!」
「……確かに、改造人間は今でも差別の対象よ。それでも、私達に手を差し伸べてくれる人達はいる! 助けようとしてくれる人達がいる!」
その大胆な賭けにZEGUN達が瞠目する中で。遥花は同じ差別を味わってきた改造人間の1人として、明智天峯という1人の人間を救うべく。鉤爪に繋がれたロープを緊張させ、勢いよく振り回し始めていた。
それはさながら、ソムリエがグラスを回転させる「スワリング」のように。
「だから……そんな人達の思いを踏み躙るようなことだけはッ! 絶対に許すわけにはいかないッ!」
「な、なにを……うぉぉぉあぁあぁッ!?」
体勢を乱された上に激しく振り回されては、鉤爪を解く暇もなく。マティーニは為す術もないまま、高速で空中を回転し続けていた。
「スワリングッ……ライダァアァッ!」
やがて、遥花の絶叫と共に回転速度が最高潮に達した瞬間。損耗と圧力に耐え切れずにベルトが破壊され、マティーニの身体が宙に投げ出されてしまう。
平衡感覚を狂わされた今の彼では、まともに受け身を取ることも出来ない。そのまま落下していく彼を、完膚なきまで懲らしめるべく――遥花は鉤爪をマティーニの仮面に引っ掛けると。
「きりもみ……シュウゥートォッ!」
「ぐぁあ……あぁあーッ!」
地面目掛けて、鉤爪と繋がっている右腕を勢いよく振り下ろすのだった。抵抗する暇もないまま、脳天から大地に激突したマティーニの仮面が崩壊し、再び明智天峯の素顔が露わにされる。
その「変身」が完全に解除され、元の姿に戻された彼が力無く倒れ伏したのは、それから間も無くのことであった。
遥花がこの土壇場で編み出した、「スワリングライダーきりもみシュート」。その一撃を以て、ついに仮面ライダーマティーニという最強の牙城が、崩れ去ったのである。
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