第20話 人間の自由と、平和のために
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やがて、雄叫びと共にその足で放たれた飛び蹴り――「ゼガンインパクト」が、マティーニの胸板に炸裂するのだった。
ZEGUN達の魂を賭けた、3連発のライダーキック。その全てを叩き込まれたマティーニのボディから、より激しく火花が飛び散り、黒煙が上がる。
「ぐぁあ、あァッ……! お、おのれぇッ……!」
「もう終わりだ、天峯! そのスーツもそろそろ限界だろう。諦めて投降しろッ!」
「限界……? 舐めた口を叩くなッ! マティーニの性能は、まだ……こんなものではないッ!」
激しく地を転がった彼に、タキオンが降伏を勧告する。だが、総攻撃を受けながらも調整を完了させていたマティーニも、まだ諦めてはいない。
「とおォッ!」
彼は最後の力を振り絞るように地を蹴って高く跳び上がり、滞空しながら飛び蹴りの体勢に入っていく。足りない出力を補うために、回し蹴りではなく飛び蹴りの姿勢から、ライダーキックを放つつもりなのだ。
「なにッ!? バカな、まだあんな力が残っているのか……!?」
「あのスーツ、どこまで装着者の負担を無視すれば……!」
「くッ……! 森里君、ガルバ君! 防御体勢を取るんだッ!」
「防御など無駄ですよ! この高度と角度から放つ私のライダーキックならば、今の出力でもあなた達など骨も残さず吹き飛ばせるのですから……!」
回避は間に合わないと判断したZEGUN達は咄嗟に防御体勢に入ったが、彼らの傷付いたボディではマティーニのライダーキックには到底耐えられない。
最後に自分1人が立っている未来を夢想し、仮面の下で口角を上げるマティーニは、全身全霊を込めた渾身の蹴撃を放とうとする。
「さぁ、あなた達全員……迅速なる死罰を以て、大罪を贖いなさいッ! スワリングッ! 電光ライダァァ、アッ……!?」
そして、人間達の誇りもろとも全てが消し飛ぶ――かに見えた、その時。突如飛び蹴りの体勢が何らかの力によって乱され、マティーニのキックが中断されてしまった。
何事かと目を見張るマティーニは、違和感を覚えた腰の辺りに視線を落とすと。そこに引っ掛かっていた、「鉤爪」の存在に気付くのだった。
「させ、ないッ……!」
「ば、番場遥花……!? 私のライダーキックを受けていながら、もう目醒めたとッ……!?」
その鉤爪を、右腕の「ロープアーム」から伸ばしていた番場遥花が。無防備になっていたマティーニのベルトを捉え、キックを阻止していたのである。
「あなた、そのベルトでキックの威力を弄れるんでしょ? ……危ないから、切ってあげるわ」
「……! ま、まさかそのために……おのれぇえッ!」
マティーニに気付かれないまま意識を取り戻していた遥花は、彼がベルトでキックの威力を調整する瞬間を目撃していた。
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