第16話 若獅子達の矜持
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ては不向きなものが大半を占めていた。
自らの勢力に帰属する「仮面ライダー」を求める、自衛隊。アメリカ軍。技術を提供した企業群。それらを後押しする様々な政治勢力。地方自治体。その全てが仮面ライダーという絶対的英雄の名声を、我が物にしようとしていたのである。
しかしそれでは、仮面ライダーを普遍的な存在とする未来を目指した、計画の理念を成し遂げることはできない。そこで惣太は彼らから得た叡智のみを結集させ、最も「使いやすく、増やしやすい」スーツを完成させた。その雛形が、今まさに梶が装着している「マス・ライダー」なのである。
現場で即座に「変身」出来る機構を取り入れ、携帯性の高さを得た「第2世代」のメリットを犠牲に。マス・ライダーのスーツは、最初期に開発された仮面ライダーEXをはじめとする、事前に装着して現場に向かう「第1世代」の運用方法を採用していた。
「奴を仕留め切れるかは分からない……だけど、『全力』を叩き込む準備だけは万端だッ!」
そんな梶ことマス・ライダーの隣に立つ春幸も、簡素な外観の赤い変身ベルトを装着している。悪用を防ぐための認証コードを「詠唱」し始めたのは、その直後だった。
「地の底に眠りし炎よ、我に仇なす者どもを打ち砕く力を――変身ッ!」
大仰な詠唱を終えた春幸が、地面に拳を叩き付けた瞬間。そこから噴き上がる炎の如き閃光が彼の全身を飲み込み、強化外骨格を形成して行く。
警察学校時代から義男に才覚を見込まれ、秘密裏にテスト運用を続けてきた「相棒」のスーツが炎の中から現れたのは、それから間もなくのことであった。
「仮面ライダーシノビ」を想起させる、忍者をモチーフとする外観。その全身は猛炎の如き真紅に統一されており、「和製」のスーツであることは火を見るよりも明らかであった。
EXが第1世代の第1号なら、この「仮面ライダー炎」は第2世代の第1号。それ故にシンプルな強さを追求していたこのスーツには、剣や銃に相当する武装がない。だが、徒手空拳でも十分なほどの出力があるのだ。
その開発目的は、仮面ライダーという存在に対する、ステレオタイプな英雄像の実現にあるのだから。
「……遥花さん。南警部達まで倒した奴の力は、恐らく……いや間違いなく、俺達の理解を遥かに超えています。それでも俺達は何としても、奴を止めなきゃならない」
「俺達の全力攻撃で、奴の注意を引き受けます。その間に遥花さんは懐に飛び込んで、奴のベルトを破壊してください。奴の変身機構も仮面ライダーに通ずるものであるならば、その要はベルトにあるはずです」
「確かにそう、かも知れないけど……いくら何でもあいつは危険過ぎるわ! あいつ相手に陽動なんてしたら、天塚さんと山口さんは……!」
静かに腰を落とし
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