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仮面ライダーAP
第15話 冒涜的な変身
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まらぬ疾さで拳を振るっていたのである。
 一体、何が起きたというのか。それすらも分からないまま、type-αとtype-000は瞬く間に拳を顔面に打ち込まれ、意識を刈り取られていた。

「がぁッ……! は、遥花……に、逃げろッ……!」

 辛うじて頭部への初撃を受け止めたボクサーも。間髪入れずに飛んで来た2撃目の拳には反応が間に合わず、鳩尾に痛烈な打撃を受けてしまう。
 それでも遠のいて行く意識の中で、彼はライダーマンGだけでも逃がそうと。気絶するその瞬間まで、自分達を打ちのめした「影」にしがみついていた。

「よ、義男さんッ! 皆ッ……!」

 仲間達を次々と打ち倒され、再び自分独りとなってしまったライダーマンGは、その光景に戦慄を覚えていた。そんな彼女の目の前を覆っていた光がようやく収まった時、ボクサー達を瞬く間に打倒した「影」の全貌が明らかとなる。

「……!」
「これでよく分かったでしょう? 番場遥花」

 ――悪と正義の融合(マリアージュ)
 その象徴たる仮面ライダーGの配色は、「悪」の黒と「正義」の赤に2分されていた。
 明智天峯が纏っている外骨格は、そんな彼の外観を忠実に再現しているのだが――黒と赤の色だけが、真逆になっているのだ。まるで、仮面ライダーGという存在の中にある善と悪が、反転してしまったかのように。

 それは、かつてこの世界を救った英雄の意匠を、根底から冒涜しているかのような姿であった。赤い鎧を纏う天峯はさらに、外骨格の上から漆黒のマントを羽織っている。

「殺し合わずして……私達の戦いを、終えることなど出来ないのですよ」
「……明智、天峯ッ!」

 人類の希望たる仮面ライダーGに極めて近しい存在が、本家とは真逆の道へと突き進んでいるのだと、その姿で語るかのように。明智天峯が変身する「仮面ライダーマティーニ」は、不気味な黒いマントを悠然と靡かせていた。

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