第15話 冒涜的な変身
[3/3]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
まらぬ疾さで拳を振るっていたのである。
一体、何が起きたというのか。それすらも分からないまま、type-αとtype-000は瞬く間に拳を顔面に打ち込まれ、意識を刈り取られていた。
「がぁッ……! は、遥花……に、逃げろッ……!」
辛うじて頭部への初撃を受け止めたボクサーも。間髪入れずに飛んで来た2撃目の拳には反応が間に合わず、鳩尾に痛烈な打撃を受けてしまう。
それでも遠のいて行く意識の中で、彼はライダーマンGだけでも逃がそうと。気絶するその瞬間まで、自分達を打ちのめした「影」にしがみついていた。
「よ、義男さんッ! 皆ッ……!」
仲間達を次々と打ち倒され、再び自分独りとなってしまったライダーマンGは、その光景に戦慄を覚えていた。そんな彼女の目の前を覆っていた光がようやく収まった時、ボクサー達を瞬く間に打倒した「影」の全貌が明らかとなる。
「……!」
「これでよく分かったでしょう? 番場遥花」
――悪と正義の融合。
その象徴たる仮面ライダーGの配色は、「悪」の黒と「正義」の赤に2分されていた。
明智天峯が纏っている外骨格は、そんな彼の外観を忠実に再現しているのだが――黒と赤の色だけが、真逆になっているのだ。まるで、仮面ライダーGという存在の中にある善と悪が、反転してしまったかのように。
それは、かつてこの世界を救った英雄の意匠を、根底から冒涜しているかのような姿であった。赤い鎧を纏う天峯はさらに、外骨格の上から漆黒のマントを羽織っている。
「殺し合わずして……私達の戦いを、終えることなど出来ないのですよ」
「……明智、天峯ッ!」
人類の希望たる仮面ライダーGに極めて近しい存在が、本家とは真逆の道へと突き進んでいるのだと、その姿で語るかのように。明智天峯が変身する「仮面ライダーマティーニ」は、不気味な黒いマントを悠然と靡かせていた。
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ