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仮面ライダーAP
第8話 戦乙女の剛拳
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 ――アルビオン自身が言っていたように。いわゆる「パイルバンカーパンチ」とも言える、彼女の必殺技「ギガントインパクト」は高い威力を誇る一方で、非常に大振りな技でもある。シルバーフィロキセラが一瞬でもアルビオンに目を向けていれば、確実に回避出来ていただろう。
 仮面ライダーの真似事をしているだけの人間共など、警戒する必要はない。そんな油断が招いた失態なのだ。

「はぁ、はぁッ……み、見たかノバシェードめ……!?」

 だが。この一撃だけで仕留め切れるほど、「ヤワ」な存在ではないことも事実であった。
 逆転の一撃を決め、息を荒げながらも勝利を確信していたアルビオンの前で。シルバーフィロキセラは呻き声を上げながらも、すぐに立ち上がって来たのである。

「……やってくれるじゃねぇか。てめぇの鎧をひん剥いたら、死ぬまで可愛がってやるから覚悟しろよ」
「くッ……!」

 侮っていた相手に一杯食わされた、という屈辱感がさらなる怒りを煽ったのか。シルバーフィロキセラは凶悪な憤怒を帯びた眼で、アルビオンを射抜いていた。
 先ほどのようなチャンスなど、もう与えない。ひ弱な女に生まれたことを後悔するほど、痛め付けてやると。

「……! なんだァ、あいつら……」

 そんな彼の凶眼と真正面から向かい合うアルビオンが、決死の覚悟でギガントアームズを構えた瞬間。遠方から猛進してくるGドロンとGチェイサーに気付いたシルバーフィロキセラが、忌々しげに視線を移す。

「東方、無事か!? ……妻と娘の誕生日だと言うのに、ふざけた真似しやがって。今日ばかりは容赦せんぞ、ノバシェードッ!」
「警部、それは私情というものです。……第一、あなたはいつも容赦していないでしょう」

 Gドロンを駆る熱海竜胆(あたみりんどう)警部と、その補佐を務めている静間悠輔(しずまゆうすけ)。2人はそれぞれの愛車から颯爽と飛び降りると、素早くアルビオンを庇うように立つ。
 その2人の腰にはすでに、「変身ベルト」が巻かれていた。

「熱海警部、静間君……!」
「怪我はないようだな、東方。……後は任せておけ。静間、変身だ!」
「……了解」

 竜胆が装着している「イグザードドライバー」に「ギアカード」と呼ばれるカードが挿入されると、歯車が噛み合った様な金属音が響き渡る。
 悠輔も自身のベルト型デバイス「オルタギアα」に腕時計型デバイス「オルタギアβ」を翳していた。

「変身ッ!」
「……変身」

 やがて、両者の音声がスイッチとなり「変身」が始まると。装着者の身体に沿った基礎の骨格「アーマーフレーム」が形成され、そこからベルトに内蔵された「アーマー」が展開されていく。
 アルビオンの前に、2人の仮面ライダーが顕現したのはそれから間もなくのことであ
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