第8話 戦乙女の剛拳
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「なんだァ? 禍継の奴、あんな人間共に負けちまったのかよ。『仮面ライダー』にやられちまうってんならともかく、生身の連中相手に何やってんだかなァ……」
武田禍継の敗北。その瞬間を遥か遠方から目撃していた上杉蛮児ことシルバーフィロキセラは、深々とため息をついていた。まさか自身と双璧を成す幹部の一角が、人間達に敗れるとは夢にも思わなかったのだ。
そんな彼も、警察製の外骨格を纏う「仮面ライダー」と交戦中なのだが。対戦相手である仮面戦士の方には視線すら向けず、蠅を払うような感覚で触手を振るい続けている。
「私など眼中にない、とでも言うのか……!」
黒のアンダースーツに、下半身を彩る白と金の差し色。上半身を固める、黒を基調としつつもメタリックブルーの差し色が入った装甲。それらは「仮面ライダーイクサ」のバーストモードや、「仮面ライダーG3-X」を彷彿とさせている。
そんな外観を持つ「仮面ライダーアルビオン」のスーツを纏う東方百合香は、両腕に装備されている巨大な機械腕「ギガントアームズ」を盾にして、ひたすら防御に徹していた。
ピーカブースタイルで触手の乱打を凌いでいる彼女の背後には、真っ二つに切り裂かれた彼女のGチェイサーの残骸が転がっている。その無惨な姿が、シルバーフィロキセラの触手に秘められた威力を物語っていた。
広範囲に伸びる彼の触手なら、ただ適当に振り回しているだけでもかなりの脅威となる。故に彼はアルビオンを視界にも入れないまま、彼女を圧倒しているのだ。
「だがッ……その傲慢さが命取りになるッ!」
無論、このまま何も出来ずに倒れる彼女ではない。防御体勢のまま徐々に間合いを詰めていた彼女は、触手の打撃を凌ぐと「次」が来るまでの僅かなインターバルを狙い、一気に動き出して行く。
ギガントアームズに内蔵されている機関砲「ギガントガトリング」が火を噴いたのは、その直後だった。大量のエネルギー弾を連射する彼女の奇襲攻撃が、油断し切っていたシルバーフィロキセラの横顔に炸裂する。
「んぐぉッ!? て、てめッ……!」
「私の動きを注視してさえいれば、容易く避けられたかも知れんなッ!」
彼がアルビオンの接近に気付いた時にはすでに、巨大な機械腕から放たれる必殺の一撃が決まろうとしていた。
ギガントアームズ内部のシリンダー状パーツ「インパクトパイル」が、吸引された空気を最大限にまで圧縮している。
「はぁあぁあーッ!」
やがて、パンチと共に急速に打ち出された衝撃波は、シルバーフィロキセラの身体を激しく吹き飛ばしてしまうのだった。
「ぐおあぁああッ!?」
あまりの威力に、白銀のボディに亀裂が入ると。シルバーフィロキセラはその激痛にのたうちまわり、転倒してしまう。
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