第7話 仮面ライダーである前に
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」の2文字を突き付けられていた禍継は、潔く散ろうと風香達に「介錯」を求めていた。だが風香はそれを否定するべく、穹哉に目配せして「手錠」を用意させる。
「武田禍継。ノバシェードを先導し、世界各地のテロ行為に関与した容疑で……お前を『逮捕』する」
「た、逮捕だと……!? 貴様ら、気でも触れたか!? 生身の人間風情が、改造人間を拘束することなど出来るわけがないだろう! そんな戯言を吐いてまで、俺を愚弄したいのか!」
穹哉が発したその宣言に瞠目し、禍継は狼狽した様子で声を荒げていく。そんな彼に対し、風香は淡々とした佇まいで言葉を紡いでいた。
「……やはり貴様は分かっていない」
「なんだと!?」
「さっきから聞いていれば、改造人間だの生身だのと……。どうやら貴様は『線引き』がしたくてたまらないようだが、そんなものは存在していないのだよ。少なくとも、現行法においてはな」
「げ、現行法、だと……?」
「分からないなら良いぜ、分かるまで何度でも言ってやる。身体がどれほど化物染みていようが、心まで化物に堕ちようが……それでも、お前らは紛れもなく『人間』なんだ。何を以て『怪人』とするか。その定義が現行法に明記されていない以上、お前らの云う改造人間なんて、どこまで行っても『自称』でしかないんだよ」
風香の説明を捕捉している忠義は、尻餅を付いている禍継に視線を合わせていた。警察官にとっては、改造人間だろうが怪人だろうが、同じ「人間」なのだと訴えるために。
「ふざけるな! こんな身体の……こんな力の人間などいるものか! だから俺達はノバシェードに……!」
「誰しもそう思う。……それでもやはり『人間』だから、俺達はここにいる。本当にお前らが、お前ら自身が思っているようなモンスターだったなら、今頃ここにミサイルでも撃ち込んで終わりにしていたところだ」
「……!」
「貴様らでも新聞くらいは読むだろう? ならば分かるはずだ。俺達のように考えている者は、決して少数派ではない。結城丈二をはじめ、貴様らのような被験者達を救おうとしている者達は大勢いる。ノバシェードというテロリストに堕ち、一線を超えてしまった貴様らは確かに、犯罪者として扱うしかない。それでも俺達人類は、貴様らを『人間』と見做して裁くのだ」
あくまで自分を「人間」として扱おうとしている穹哉と風香を仰ぎ、禍継はわなわなと肩を震わせ、目を伏せる。心の底から本気で言っているのだと、彼らの眼が語っていた。
それ故に、視線を合わせることが出来なかったのである。
「……人間共の施設如きで、改造人間を拘束することなど出来るものか。いずれ必ず、凶悪な脱獄犯が現れる。今ここで殺しておかねば、後悔することになるぞ!」
「その時は、また俺達が捕まえてやるさ」
「何十回でも、何百回でもな
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