第四十三話 麦わら帽子その十
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「嫌でしょ」
「ええ、誰からも怨まれるだけでも嫌なのに」
咲は顔を曇らせて答えた、怨まれるということがどれだけ心理的に負担がかかることか考えてのことだ。
「一生とかね」
「嫌でしょ」
「それで背中から撃たれたりとかね」
「いきなりね」
「そうなることはね」
どうしてもというのだ。
「絶対に嫌よ」
「だからね」
それでというのだ。
「最初から言わない方がいいわ」
「そういうことね」
「このことはね」
「絶対のことね」
「それでも失恋もね」
「経験になるの」
「恋愛の、それで人生の」
こう咲に言うのだった。
「それになるのよ」
「そうなのね」
「だから」
「合コンにもなのね」
「どんどん出てそしてね」
「肉食系ね」
「それでね」
その考えでというのだ。
「彼氏君もね」
「ゲットなのね」
「そうしていったらいいのよ」
「そうなのね」
「そう、ただ咲っちはね」
咲はというのだ。
「いけてるのにね、ルックス」
「そうそう、如何にももてる」
「そんな風よね」
「髪さらさらでスタイルいいし」
「顔立ちもいけててね」
他のクラスメイト達も言ってきた。
「リアルで平均点高いわよ」
「ナチュラルメイクもいいしね」
「色白でしかも脚奇麗」
「まさに文科系女子」
「そんな感じだからね」
「もてる?私」
咲は友人達の言葉に真顔で首を傾げさせた、右手は無意識のうちに顎にあたってそれでポーズにもなっている。
「本当に」
「もてるわよ、その顔だったら」
「スタイルもね」
「あと性格も悪くないし」
「いけるわよ」
「だったらいいけれど。ただ私生きてきた歳月イコール彼氏いない歴だから」
自分でこう言った。
「だからね」
「それでなのね」
「交際とかはなのね」
「本当に経験ないから」
やはり自分で言った。
「こうしたことはね」
「駄目?」
「無理って言うの」
「肉食系は」
「絶対にね、けれど何事も経験よね」
この言葉に顔を向けもした。
「やっぱり」
「そうよ、だからね」
「合コンも出たら?」
「こうしたことも経験だしね」
「それに高校生からっていうのも」
つまり今はじめてもというのだ。
「遅くないでしょ」
「世の中大学デビューの人もいるしね」
「それ考えたら高校一年も遅くないでしょ」
「それも柄の悪い子達と合コンしないし」
「そんなのお断りだしね」
「やるならね」
その合コンをとだ、ここでも一人言ってきた。
「私達の学校の中でするのよ」
「八条学園の中で?」
「この東京校の中でね」
「相手選ぶの」
「そう、うちの学校って穏やかなカラーでしょ」
「そうね、不良って学校じゃないわね」
「だからね」
それ
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