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展覧会の絵
第一話 キュクロプスその六
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「絵を描くんだ」
「あの画廊の絵みたいなのを?」
「あれ全部佐藤君が描いたのよね」
「じゃあ美術部でも絵を描くのね」
「そうするのね」
「そうだよ」
 やはりだ。淡々と答える彼だった。
 そしてだった。彼はそのまま部室に入る。するとだ。
 女の子達が彼についていこうとする。しかしだ。
 その彼女達をだ。和典が慌てて止めようとしてだ。部室に入ろうとする十字の後ろに来た。
 形としてだ。女の子達の前に来て言うのだった。
「あっ、部室は関係者以外は」
「えっ、何よそれ」
「私達も入部したいけれど」
「それじゃあ駄目なの?」
「美術部員になるのなら」
「入部は誰でもいいよ」
 それはいいとだ。和典も言う。
 しかしだ。彼は同時にこう女の子達に言ったのである。
「けれどそれでもね」
「それでも?」
「それでもって何よ」
「まずは入部してからだよ」
 それからだというのだ。
「それから入ってくれるかな、部室に」
「何よ、ケチねえ」
「それからって」
「まずは入部しろって?」
「それからって」
「それが決まりだからね」
 今度は校則を出して言う十字だった。
「だから。頼むよ」
「わかったわよ。仕方ないわね」
「それじゃあ。まずは入部してからなのね」
「それからね」
「そう、まずはね」
 何とかだ。女の子達の部室への乱入を止めてだった。和典はだ。
 彼女達の入部の手続きをした。それによってだ。
 美術部員は一気に増えた。これまでの倍になった。しかしだ。
 その誰もが十字を見ていた。部活よりもだ。この展開にだ。
 和典はいいのか悪いのかわからない顔になっていた。その彼にだ。
 他の美術部員、男の彼等がだ。苦い顔で言ってきた。
「部員は増えたのはいいんだけれどなあ」
「ちょっと。これは」
「何ていうかな」
「いい展開か?悪い展開か?」
「どっちなんだろうな」
「結果としていいと思うよ。初心者大歓迎だし」
 特に嫉妬深くない彼はこう言うだけだった。彼女達が入部してからはだ。
 それでだ。こう男の部員達にも言うのだった。
 それに加えてだ。彼は部員達にこうも述べた。
「それに彼はね」
「どうなの?一体」
「無愛想な人だけれど」
「別に悪い人じゃないよ」
 このことも保証したのである。
「意地悪でもないし知っていることなら何でも教えてくれるし」
「えっ、そうなんだ」
「意外と親切なんだ」
「そうなんだ」
「そうだよ。親切だよ」
 仲間達にこのことを教えるのだった。
「それに公平だし」
「あっ、そういえば男でも女でも態度変わらないね」

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