196 同体化した少年
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かよ子は谷の中で一夜を過ごしていたが、ふと急に目が覚めた。しかし、まだ夜は明けていなかった。
(こんなに早く目が覚めるなんて・・・)
別に例のレーニンが出てくる夢でうなされていた訳ではない。ただ何となくである。皆は眠っていた。まる子は寝相が悪く、ゴロゴロ転がりながら寝ていた。
「何か、落ち着かない気分だな・・・」
かよ子には見聞の能力は持っていない。しかし、心のどこかで落ち着かない感じがしていた。それは目的地から遠ざかってしまったからか、それとも自分の好きな男子が赤軍達の側に寝返ってしまったからか、もっと言えばその両方なのか・・・。
(イマヌエルさんは、あの山を越えればいいって言ってたな・・・)
かよ子は緑のない、土のみの山を見た。そして日が出るまでそのまま見つめていた。
「おお、山田かよ子、起きていたのか」
「石松・・・」
石松が起きていた。
「うん・・・、早く起きちゃって」
「まあ、遠くの地に飛ばされたのだ。悔しい余りであろう。だが、挫けるでない。必ず目標は達成するべきだ」
「うん、そうだよね・・・!!」
そして皆が大体起きて来た。
「あ、かよちゃん、おはよう〜」
「まるちゃん、おはよう」
そして声が聞こえた。
『皆様、おはようございます。朝食の御用意ができましたのでお召し上がりください』
フローレンスの声だった。今朝は和食風だった。鯖に米、味噌汁にお干たし、そして海苔だった。
「ちぇっ、今日は外れかあ・・・」
まる子は少し不貞腐れた。
「さくらももこよ、飯の献立に当たり外れなど関係ない。気に入らなければ食わなければよかろう」
石松が窘めた。
「ぶー・・・」
「私、ももこちゃんがそう言うの言うと嫌だ・・・」
のり子が悲しげに言った。
「あ、うん、ごめん・・・」
「よし、食ったら先行こうぜ」
大野が案じ、皆は了承した。そして食べ終わると、かよ子は羽根を動かし始める。
「それじゃ、行くよ!」
羽根は飛ばした。山脈の山々のうち、緑のない山を飛んでいった。
「次郎長さん」
「何だ?」
かよ子が質問する。
「この山脈は色々な山があるよね。どうして一つの山脈に緑があったりなかったり、火山や雪山、さらには雲が上に乗ってる山とかあるの?」
確かに、この山脈の山々は多様な性質を持っている。
「この山々には様々な性質を持っているように作られたのだ。西洋にある四大元素および東洋、特に中国から伝わる五行説の源となるようにな」
「四大元素?五行説?」
「四大元素とは炎、水、地、風の事、五行説とは炎、水、木、金、そして土の五つの事だ。お主の杖は杯、護符、剣と共に四大元素を司る最強の宝具の一つ。杖はその中で炎を司る役割であるのだ。フローレンスとイマヌエルはこの地を作り出
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