完結編 息子達と博物館
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「はぁー……やっぱ壮観だよなぁ、こうして見てみると」
ショーケースに並べられた、歴代のウルトラ戦士の立像。雄々しく立ち並ぶ、その像の群れを前にして――風祭竜流は嘆息していた。彼をはじめとする中学生達は今日、このウルトラ記念博物館の見学に訪れているのだ。
テンペラー軍団との戦いの後に修復され、今年で創立120周年を迎えたこの博物館には、かつて地球の危機に立ち向かったと言われる伝説の巨人――「ウルトラマン」の歴史が刻まれている。
怪獣や異星人達との戦争に明け暮れていた時代が過去のものとなった現代においても、その勇姿と名誉は次の世代へと語り継がれているのだ。竜流をはじめとする少年達は、幼い頃の憧れを思い出すかのように、目を輝かせて像の巨躯を仰いでいる。
「なぁ竜流、お前の父ちゃんってBURKの司令官なんだろ? やっぱり生ウルトラマンとか見たことあんのかな」
「どこまでホントか知らないけど、一緒に戦ったこともあるって言ってたよ。ウチの母ちゃん、父ちゃんのこと喋り出したら止まらねぇんだよなぁ……」
「いいなー……最後の戦いって、俺らが産まれてくる直前だったんだよなぁ。1回でいいから、『本物』を見てみたいぜ」
「えー、でもそれってまた戦争が始まるってことでしょ。僕はこのまんまの方がいいかなぁ」
「まぁーたそんなつまんねぇこと言って! いいじゃねえか、ちょっとくらい怪獣が出たってよぉ。ウルトラマンとBURKがいりゃあ、何とでもならぁ」
「怪獣が出て来る事態は『ちょっと』じゃねーだろ……お前授業聞いてなかったのかよ、昔はアホほど街が壊されてたんだぞ」
いつも竜流とつるんでいる5人の友人達も、思い思いに平和を謳歌していた。
暁進。椎名弾。覇道秀樹。八月朔日星司。荒石光太郎。彼らは戦争を知らない世代ならではの語らいを楽しみながら、6体の巨像の傍らを通り過ぎていく。
その6体の巨像は、今年から新たに「追加」された若きウルトラ戦士達の勇姿を象っていた。
ウルトラアキレス。ウルトラマンザイン。ウルトラマンエナジー。ウルトラマンアーク。ウルトラマンジェム。そして、ウルトラマンカイナ。
今から14年前、テンペラー軍団の脅威から地球を救った彼ら6人の功績は今や、博物館にも展示されるほどの「伝説」として認められているのだ。そんな彼らと、自分達の「父親」の繋がりを知らぬまま、少年達はカイナをはじめとする「6兄弟」の巨像を後にしていく。
「……隊長、本当にあのままでよろしいのでしょうか」
「竜流の坊ちゃん、司令官殿のことは何も知らされていないようなのですが……」
「それで良いんだ、江渡隊員。真
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