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ウルトラマンカイナ
過去編 ウルトラフィストファイト
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ウムエネルギーを充填させた両手の拳を前に突き出し、手を開いて二つの光弾を出現させる「ザイナスフィア」。
 両腕を後方に振りかぶった後に腕をL字に構え、強力な光線を叩き込む「メタリウムアークシュート」。

 その三つの必殺技がブルトンの全身に直撃し、黒煙が上がる。だが、彼の怪獣はそれでも力尽きることなく、再び謎の力を突起物から発してアーク達を吹っ飛ばしてしまうのだった。

『これで……今度こそ終わらせる! フォトンッ……ブラストォッ!』

 だが、彼らが攻撃を引き受けている間に。両碗を腰だめに構え、「力」を蓄え続けていたフィストは、正拳突きと共に必殺の光線「フォトンブラスト」を撃ち出していく。
 その一閃がブルトンの巨体を貫き、爆炎が大空に噴き上がった瞬間。この戦いは、ようやく終焉を迎えたのだった。

『……この次元の地球のことは、どうか私に任せて欲しい。君達には、君達の手で守らねばならない世界があるはずだ』
『……』

 人々がウルトラマン達の勝利に歓声を上げ、沸き立つ中。空の彼方には、ブルトンの活動により発生していた異次元への「穴」が広がっていた。
 そこを指差すフィストの言葉に、アーク達は暫し目を伏せ――観衆達の中に混じっている、それぞれの「大切な人」と視線を交わしていた。

 今度こそ、いなくなってしまうのか。そう問い掛ける力無い眼差しに、心を揺さぶられなかったわけではない。
 だがブルトンが倒れた今となっては、その残滓である上空の「穴」だけが、この世界から脱出できる唯一の道なのだ。ウルトラマンとしての使命を果たすと決めた以上、今さら引き返すことなど出来るはずもない。

『……行きましょう、アキレス兄さん。ザイン兄さん。俺達はまだ、「こっち側」には居られないんです』
『あぁ……そうだな、アーク。今はまだ、一緒には居られない。それだけのことなんだから』
『いつか俺達が星になった時こそ、本当の再会が果たされる。……焦ることなど、ないんだ。今日までの日々を、忘れない限りは』

 やがて彼らは、最後の迷いを振り切るように。両手を伸ばして遥か上空へと飛び去り、ブルトンが残した「穴」の向こうに消えて行く。その姿を見届けたアークは、彼らがこの世界に残した「大切な人々」に、視線を落とすのだった。

(……君達の世界にはいずれ、この次元の地球とは比べ物にならないほどの『災厄』が訪れることになるだろう。それはきっと、誰1人として欠けてはならない死闘となるに違いない。今君達が立ち止まっても、君達が味わった悲しみが広がるだけなんだ)

 人々の多くが、アーク達に笑顔で手を振る中で。嵐真の両親と雄介の恋人、そして要の妹だけは――最愛の人を失ってしまったかのように、泣き崩れていた。
 だが、この結末を悲しんではならないのであ
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