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ウルトラマンカイナ
過去編 ウルトラフィストファイト
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と。要は妹の声に耳を貸すことなく、歩み続け、やがて走り出して行く。
 ブルトンの突起物から放たれる謎の力に吹っ飛ばされたフィストが、ビルに激突したのはその直後だった。

「お兄ちゃん!? 待ってぇ! 花苗を独りにしないでぇっ!」
「……ッ!」

 ビルの崩壊に伴う轟音が、天を衝いている時でさえも。そんな妹の涙声が、要の背に突き刺さってくる。

 心の底から、振り返りたかった。踵を返して、今すぐにでも抱き締めたかった。変身アイテムなど放り投げて、この世界での優しい日々に浸っていたかった。
 それでも要は、妹を置き去りにしたまま、走り去ることを選んでいる。人間としての自分の魂ごと、置いて行くかのように。

(ごめんな、ごめんな……! 花苗、ごめんなぁ! お兄ちゃん、本当はもう居ないんだ! ここに居ちゃいけないんだ! それでも俺達はずっと、見守ってるから! 遠い世界の向こう側から、花苗のことも……死んで行った皆のことも、ずっと!)

 この決断を迫られたのは、要だけではない。雄介も、嵐真も、苦悩と葛藤の果てに、戻ることを選んでいたのだ。その証拠に、この世界のウルトラ戦士ではないはずのアキレスとザインが、倒れ込んだフィストに肩を貸している。
 彼らも、この世界で人間として生きることより、ウルトラ戦士としての使命を果たす道を選んだのである。先輩達のその姿を目撃してしまったからには、もはやこれ以上、目を背けることはできない。
 同じ涙の味を、覚えてしまった者として。

「――アァークゥッ!」

 そして、全ての迷いを振り切るために。要は首に下げられていたアーククリスタルを引きちぎると、絶叫と共に天高くそれを翳す。
 その叫びに呼応したクリスタルから広がる閃光が、彼の全身を包み込み。やがて眩い輝きの中から「ぐんぐん」と、銀色の巨人が拳を翳して飛び出して行く。

『テエェーイッ!』
『……!』
『来たか、アーク!』
『待っていたぞ!』

 空中で軽やかに身を翻したウルトラマンアークが、ブルトンの前に着地したのはその直後であった。フィストを助け起こしているアキレスとザインを庇うように、彼は勇ましく拳を構えている。

『……アキレス、ザイン、そしてアーク。私達の最大火力で、一気に奴を仕留めるぞ』
『あぁ……そうだな』
『終わらせよう。俺達の手で』

 そんな彼が、ここに来るために「捨て去ったもの」。その重さを慮るフィストは、同じ苦しみを味わったアキレスやザインと頷き合い、「必殺技」の体勢へと移行する。

『イーリア……ショットォッ!』
『ザイナァッ……スフィアァアッ!』
『メタリウムッ……アァークシュゥウートッ!』

 片腕を横に振りかぶった後、縦に突き出して発射する「イーリアショット」。
 スペシ
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