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ウルトラマンカイナ
過去編 ウルトラフィストファイト
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 大切な人を失った時、誰しも一度は思うことがある。

 あの人にもう一度会いたい、やり直したい。
 不可能と知りながら、そんな月並みで愚かしい願いを抱いてしまうのは、感情を持つ人間としてはむしろ必然なのだろう。

 そんな情動に揺さぶられてしまう人としての脆さにおいては、ウルトラマンですら例外ではなかったのだと明らかにされたのは――テンペラー軍団の襲来から、約2年前のことだった。

 思うがままに時空を歪めてしまう力を持つ、四次元怪獣「ブルトン」。
 フジツボのような無数の突起物と、塊状の身体の持ち主である、その異形の怪獣と対決していた当時のウルトラマンアークは。彼の者が出現させた異次元へと繋がる穴に、為す術もなく吸い込まれてしまったのだ。
 さらに、アークを救出するべく駆け付けて来たウルトラアキレスとウルトラマンザインまでもが、その穴に引き摺り込まれてしまったのである。

 やがて3人のウルトラマンは次元の壁を越えると、自分達が知る世界とは異なる歴史を歩んでいる「別次元の地球」へと漂着した。
 その地球が、自分達にとっての「異世界」であることを認識していなかったわけではない。この転移が怪獣(ブルトン)の仕業である以上、早急に元の世界に帰る方法を探さねばならないのだということは、3人も頭では(・・・)理解していた。

 にも拘らず。彼らは転移から1ヶ月が過ぎても、元の世界に帰る方法を探そうともしていなかったのである。

 理由は、ごく単純なものであった。

 怪獣に踏み潰されたはずの、八月朔日要(ほずみかなめ)の妹が。異星人に刺し殺されたはずの、椎名雄介(しいなゆうすけ)の恋人が。戦闘時の火災に焼き尽くされたはずの、暁嵐真(あかつきらんま)の両親が。
 この異次元の地球においては、何事もなかったかのように生存していたのである。逆に要、雄介、嵐真の3人が、この世界では死亡していることになっていたのだ。

 死んだと思っていた大切な人が、ある日ひょっこりと帰って来た。この次元の地球で生まれ育った者達にとっては、それが真実となっていたのだ。
 今目の前にいる八月朔日要が、椎名雄介が、暁嵐真が、異次元の地球から飛ばされて来たウルトラ戦士であることなど知る由もない。要の妹も、雄介の恋人も、嵐真の両親も、奇跡が起きたのだとしか思っていなかった。

 そんな彼らと同じ気持ちを抱えていた要達もまた、真実を打ち明ける機会を逸したまま。魂ごとこの世界に引き摺り込まれてしまったかのように、1ヶ月もこの世界に留まっていたのである。
 まるで、自分達がウルトラマンであることすら忘れようとしているかのように。

「うわぁあーっ! かっ、怪獣だぁあ!」
「ふ、踏み潰されるぅっ! 助けてぇえっ!」

 その状況に変化が現
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