過去編 ウルトラリッパーファイト
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懸けてるのさ。こいつらなら必ず、テンペラー軍団からもこの地球を救えるってな』
『バ、バカな……! それこそ、天地がひっくり返ってもありえねぇぜッ! それほどの強さを持っていながら、奴らの力が分からねぇのか!? 俺様にすら負けるようなひよっこ共になんざ、勝てるわけねーだろうがッ!』
『……だからこいつらは、今から強くなるのさ。そのための「教訓」が、お前との戦いだった。さっきも言っただろう? てめぇは、もう用済みだってよ』
『ち……ちくしょぉおおッ! なんてひでぇ野郎だ、この人でなしがァアッ!』
この男には話など通じない。今になってそれを理解したヒッポリト星人は自分の卑劣さを棚に上げ、半狂乱になりながら残っている腕を振り翳し、リッパーに殴り掛かっていく。
すでに破られている炎の拳が、その巨体に迫ろうとしていた。
『……ヌゥンッ!』
そんな彼を、「介錯」するべく。リッパーは腕を×字に組み、エネルギーを溜めると――その両腕を上下に伸ばし、半月状の光刃を形成して行く。
『ウルトラZ……ギロチンッ!』
やがて打ち出された、縦一文字の一閃「ウルトラZギロチン」。その光刃は真っ向から迫るヒッポリト星人の巨体を、瞬く間に両断してしまうのだった。
『……ふん。てめぇの2枚おろしなんざ、豚の餌にもならねぇな』
まさしく苦しむ暇もない、一瞬の介錯。その閃刃に倒れたヒッポリト星人の骸を見下ろし、リッパーは鼻を鳴らして踵を返して行く。
今回の元凶であるヒッポリト星人が倒れたことが影響しているのか。ジェムをはじめとするウルトラマン達や、温泉街の人々を覆っていたタールも、徐々に溶け始めていた。
全てが元通りになるのも、時間の問題と言えるだろう。ヒッポリト星人を巡る今回の事件も、これでようやく解決となったのだ。
『今のこいつらは、確かにひよっこさ。……それでも最後まで諦めず立ち向かい、僅かな可能性でも勝利を信じて戦って来たこいつらなら、いつかその心を以て不可能を可能にする。それが、「ウルトラマン」なんだよ』
だが、今回の事件はこれから始まる「本当の戦い」の序章に過ぎない。
それを知るリッパーは、ブロンズ像から復活しつつある弟子達を一瞥すると――敢えて何も語ることなく、この場から飛び去って行くのだった。ウルトラマンジェムをはじめとする彼ら6人なら、必ずこの地球を守り抜けるのだと信じて。
◇
――そして。復活後、真っ二つにされたヒッポリト星人の遺体から全てを察したジェム達6人は、改めて己を鍛え直すようになり。
この日の事件から約1年後、テンペラー軍団の侵略を見事に打ち破って見せたのである。その瞬間を見届けていたリッパーが、安堵の笑みを浮かべていたことなど知る由もなく。
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