過去編 ウルトラリッパーファイト
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方へと視線を移したヒッポリト星人は、下卑た笑い声を溢しながら、ブロンズ像にされた人々を舐めるように見下ろしていた。
『んー……それにしても、やっぱり地球人はいいねぇ。恐怖、悲しみ、苦しみ、悔しさ……ありとあらゆる負の感情ってヤツがこれでもかと顔に出てやがる。他の異星人だと、なかなかこうは行かねぇよなァ。フヒヒ、見てろよォ……今に全ての地球人を俺様の芸術作品にしてやるぜぇ』
ブロンズ像にされた人々の表情は様々だった。ヒッポリト星人の姿に怯え、恐れ慄く観光客。自分の身体が冷たいブロンズ像になっていく光景に、絶望する地元民。先にブロンズ像にされた娘を抱きしめ、悲しみに暮れる母親。
そして、何も出来ずブロンズ像にされていく中で、悔しさに口元を歪めていた弘原海と琴乃。彼らの貌を覗き込み、自身の美学を称賛するヒッポリト星人は、やがて苛立ちの色を帯びた眼差しでウルトラマン達の方へと振り返る。
『……それに引き換え、こいつらときたらみーんな同じようなツラ並べやがってよ。つまらねぇったらないぜ。……やっぱ壊しちまうか、見ててムカっ腹立つしよォ!』
地球人達とは違い、悲しみや苦しみといった感情を顔に出さない光の巨人。ブロンズ像にされてもなお、その気高さを失わずにいる彼らへの怒りが、ヒッポリト星人の破壊衝動を駆り立てていた。
『よーし、じゃあまずはこいつからぶっ壊してやろうかなァ! あばよウルトラマンジェム! 変身する直前の、怒りに満ちていたてめぇのツラ……嫌いじゃなかったぜェッ!』
そして、彼の矛先がジェムに向けられ。そのブロンズ像を打ち砕こうと、拳が振り上げられた瞬間。
『俺も、てめぇのツラは嫌いじゃねぇな。殴りやすそうでよ』
背後に居た何者かが、その腕を掴む。何事かと振り返った瞬間、ヒッポリト星人は己の顔面に赤い鉄拳を叩き込まれていた。
『え? ……ぶぎゃあぁあッ!?』
あまりの威力に吹っ飛ばされ、轟音と共に転倒してしまったヒッポリト星人は、慌てて立ち上がると予期せぬ「新手」に向けて怒号を上げる。
腕を組み、両の足で雄々しく大地を踏み締めている、筋骨逞しいシルバー族の巨人。その勇姿はまさしく、ウルトラ戦士のそれであった。
Z95星雲出身ということもあり、その深紅を基調とする容姿は、ウルトラマンゼアスに近しく。それでいて筋肉質な身体と、腕から伸びている鋭利なヒレは、よりワイルドな印象を与えている。
青緑に輝く彼の両眼は、ヒッポリト星人の醜悪な姿を鋭く射抜いていた。
『て、てめぇ何者だッ!?』
『俺か? ……俺はウルトラマンリッパー。そこのバカ弟子共が世話になった礼を言いに来たのさ』
『バカ弟子共、だと? てめぇもウルトラ戦士か……! だったら、てめぇも俺様のコレクションに加えて
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