過去編 ウルトラリッパーファイト
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テンペラー軍団の襲来から、約1年前。次々と地球に迫り来る怪獣や異星人達の脅威に対抗するべく、ウルトラマンジェムがその命を懸けて戦っていた頃。
「くそッ……! 弘原海隊長とも琴乃さんとも連絡が取れない! 一体どうなってやがるんだッ!」
とある山奥の温泉街へと繋がる狭い山道を、1台のレーサーバイクが疾走していた。そのハンドルを握る金髪の少年――荒石磨貴は、真紅のライダースジャケットをはためかせ、大自然に挟まれたアスファルトの上を駆け抜けている。
山奥の温泉街に居た住民や観光客が全員、ブロンズ像にされてしまった。そんな奇妙な通報を受けたBURKが、異星人の仕業と疑い現地の調査に動き出してから、すでに3時間以上が経過している。
今頃は現場に着いているはずの弘原海と琴乃からは定時連絡もなく、呼び掛けても応答すらない。そこで、学校帰りのウルトラマンジェムこと磨貴が、現場に急行しているのだ。
「待ちな!」
「……!?」
すると。山道の中央に立っていた1人の青年が、掌を突き出して磨貴の前に立ち塞がってきた。30代と思しき精悍な顔立ちの青年は、真っ直ぐな眼差しで磨貴を射抜いている。
「誰だあんた!? 邪魔しないでくれ! こっちは大急ぎなんだッ!」
「誰でもない、ただの旅人さ。……それより、この先はかなり危険なんだ。命が惜しかったら、これ以上近付かない方がいいぜ」
「危険だから俺が行かなきゃいけないんだよ! だいたい、この道路はとっくにBURKが封鎖してるはずなのに……どうやって入って来た!? あんた、何者だ!」
「何者……か。そうだな、霧町英二……とでもしておこうか。とにかく、死にたくなけりゃさっさと引き返せ。歯ァ磨いて朝まで寝てろ」
弘原海や琴乃と連絡が取れない焦りからか、磨貴は声を荒げて、英二と名乗る青年に怒鳴っている。一方、当の英二は涼しげな表情で「しっしっ」と手を振り、淡々と磨貴を帰そうしていた。
そんな彼に痺れを切らした磨貴は、バイクのエンジンを噴かせて急発進させる。前輪を上げたウィリー走行で道路の横にある山肌に突っ込んだ彼は、そのまま滑るように壁を走り、英二の後ろへと回り込んでしまうのだった。
「もういい! あんたこそ怪我する前に、さっさと山を降りるこったなッ!」
「……」
そして捨て台詞を残すと、瞬く間に英二の前から走り去ってしまう。そんな弟子の背中を見送った旅人は、ため息混じりに煙草を取り出すと――独り静かに、一服し始めていた。
「……まァ、言って聞くようなお利口ちゃんでもねぇよなァ。あのバカ弟子はよ」
かつて別次元の地球を救うために戦っていた頃、地球で活動するための依代としていた旅人の青年。その姿を借り、弟子の様
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