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ウルトラマンカイナ
特別編 ウルトラカイナファイト partEXTRA
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多くの悲しみを背負い戦って来た青年達の思いまで分かると言うのか、と。

「ウルトラマンとの接触者である彼らの存在を認知していながら、あなた方はその身柄を強引に確保しようとはされなかった。……何故です?」
『子供でも分かる単純な話だ。彼らがウルトラマンの依代として選ばれた理由は、未だ科学的に解明されていないブラックボックスなのだろう? であれば、取り返しのつかない結果に繋がり得る選択は避けねばならん。「イカロスの太陽」の運用計画が凍結されたようにな』
「諸悪の根源であるテンペラー軍団が全滅した今、その懸念は無くなっているはずです。現に各国支部から派遣されているBURKのリーダー格は、いずれも各支部の広報活動を経験している良家出身の『美少女』ばかり。……これには、あなた方なりの『思惑』があるのでは?」
『他国の真意までは測りかねるが、少なくとも我が国としては「希望的観測」に過ぎんよ。あくまで本人達の幸せを願うだけの、可愛らしい恋のキューピッドだと思ってくれ』
「……」

 テンペラー軍団を打倒した後も、日本国内に駐留している各国のBURK。その部隊や艦隊等を率いているリーダー達はいずれも、見目麗しい美女や美少女ばかり。
 各国が弓弦達の正体を把握しているのであれば、体良く自国に身柄を取り込むためのハニートラップ要員だという可能性も出て来る。それ故に自分が相手だろうと臆することなく、毅然とした態度で追及して来る琴乃の凛々しい貌に、大統領は不敵な微笑を浮かべていた。

『……人の口に戸は立てられないものだよ、ミス・コマカド。彼らにも(・・)いつか必ず、その正体を暴かれる時が来る。真実を知る我々には、その日のために「後ろ盾」を用意しておく使命があるのだよ。限りなく「超人」に近しい存在だった彼らを、無思慮な悪意から守るためにもな』
「仰ることは……分かります。ですが大統領、なぜあなたはそれほどまでに彼らを……?」

 全てを見通していながら交渉材料にしようともせず、あくまで友好的な姿勢を示し続ける大統領。その真意が読めず、訝しげに目を細めている琴乃の言葉に、彼は神妙な表情を浮かべていた。

『なぜ……か。ミス・コマカド。君は、ヒーローになるための条件は何だと思う?』
「は……?」
『私は今でも(・・・)、それは「愛」だと思っている。理屈を超えた、無償の愛。私は、それを届けられるようなヒーローでいたい』

 やがて呟かれたのは、「愛」などという突飛な言葉。やるかやられるか、という激動の6年間を過ごして来た者達にとって、それほど信じられないものはない。
 その「愛」のために戦って来たウルトラマン達の背中を知る琴乃ですらも、大統領の言葉がどこまで本心なのかまでは推し量れず、ただ困惑するばかりであった。

『君も私と同じ気持ちで
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