特別編 ウルトラカイナファイト partFINAL
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いな。お前ら」
扉を開けた先では、すでにコーヒーを淹れ始めていた店長が不敵な笑みを溢している。数多の死線を潜り抜けてきた者にしかできない、優しげでありながらも鋭さを秘めた笑顔だ。
「弘原海隊長、お久しぶりです。……相変わらず、ネーミングセンスは壊滅的ですね」
「本当ですよ。何なんですか、アルティメットファイヤーウルトラバークワダツミって」
「普通、喫茶店にそんな物騒な名前付けます?」
「……お前らなァ、再会早々に文句ばっかり並べるんじゃねぇよ。それに、俺はもう隊長じゃねぇって何度も言ってんだろうが」
「その割には、看板の主張が激し過ぎるのですが」
開店祝いを兼ねて、とある「報告」のために訪れた5人の英雄。そんな彼らの戦いを支え続けてきた、歴戦のBURK隊長……だった男は、ため息混じりに鼻を鳴らしていた。
「それに、今さら他の呼び方なんてしっくり来ませんよ。……そうですね、強いて挙げるなら『おやっさん』なんてどうでしょう」
「いいな、俺も同意見だ。よし、今後はその呼称で統一するとしよう」
「急速に馴れ馴れしくなりやがって……俺本人の意向は無視ってかぁ? へっ……まぁ、おやっさんってのも悪くはねぇがよ」
ウルトラマンと一体化し、共に命を賭け地球を守るために戦う。そんな過酷な宿命を背負いながらも、最後まで投げ出すことなく超人としての責務を完遂した彼らは、弘原海にとっては息子同然の存在であった。
そんな彼らから、「おやっさん」と呼ばれるようになる。口先では文句を言いつつ、そんな第2の人生も悪くないと、弘原海は微かに笑みを溢していた。
自分達にとっては父のような存在だった、弘原海のその横顔を一瞥する嵐真は。他の4人と頷き合うと、1枚の手紙を彼の前へと差し出す。
「……これ、弓弦さんからです。今日は復興現場が忙しくて来れなかったみたいですけど、そのうちここにも『挨拶』に来ると思いますよ」
「あぁ、そうかい……じゃあ、今度会ったら祝いに1発ぶん殴ってやらなきゃな。お嬢様を……若奥様を、よろしく頼むってよ」
その手紙を開いた弘原海は、僅かに涙ぐみながらも朗らかに口元を緩めていた。華やかなウェディングドレスに彩られた風祭梨々子と、その隣に立つ風祭弓弦の写真が、2人の幸せを艶やかに写し出している。
まるで愛娘の晴れ舞台を想像しているかのような彼の涙に、5人の青年達も目を見合わせて微笑を浮かべていた。
――この次元における、ウルトラマンと侵略者達との戦いは、完全に終結したのかも知れない。
だが、これから何年も、何十年も、何百年も、何千年も。地球の平和を守り抜くための、人間達の物語は続いて行くのだ。
それを紡いで行くことができるのは、この星で暮らす地球人達だけなのだから
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