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SHUFFLE! ~The bonds of eternity~
第三章 〜心の在処〜
その三
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にしてよね……」

「大丈夫ですわ、亜沙ちゃんの前では使いませんので安心してください」

 亜沙の魔法嫌いも相変わらず徹底している。というか俺の身も案じてください、と言いたかった稟だった。

「まあ、それはまず無いでしょう」

「ん? どゆこと?」

「稟のそれは精神的な疲労なんで」

 と、朝の事を話す。その脇で、

「治癒魔法の話が出るようじゃねえ……土見くん、短い間だったけど、あなたはいい友達だったわ」

「やめい、縁起でもない」

 そんな会話が交わされていた。


          *     *     *     *     *     *


 放課後。

「疲れた……」

「お疲れさん」

「というかこんな疲れる日に掃除当番って……」

「運が悪かったと思って諦めな」

 ぶつぶつと文句を言う稟とそれに付き合う柳哉。今日は二人とも掃除当番だった。本来ならここまで時間はかからないが、前述の理由から遅くなってしまった。既に窓の外の風景は赤く染まっている。

「ほれ、ゴミ捨ては俺が行っとくから、お前は帰りな」

「……いいのか?」

「ああ。見た所もうほとんど帰ってるみたいだしな」

 襲われるようなことはまず無いだろう。

「そうか……。ありがとな」

「おう、また明日」

 そう言って柳哉はゴミ捨てに向かい、稟は帰り支度を始める。鞄を持ち、教室を出るが、

(プリムラは……もう帰ったかな。皆が見ててくれたとは思うが……)

 そう思って足を止める。シアやネリネ、楓あたりが連れて帰ってくれたとは思うが……。

(プリムラのクラスは確か……)

 なんとなくだがいるような気がして、一年のクラスへ向かった。


          *     *     *     *     *     *


「……まさかとは思っていたけど」

「……稟……?」

 果たしてプリムラは、そこにいた。茜色に照らされた小さなその姿はどこか(はかな)ささえ感じる。

「……何やってるんだ? こんな時間まで」

「……稟も、何で、まだ……?」

「掃除当番でな。帰り際に思い立って来てみたんだが……皆と帰らなかったのか?」

「……そう……」

 その横顔が少し沈んで見えたのは稟の気のせいだったのだろうか?

「何か用でもあったのか?」

「……今終わった……」

「よし、じゃあ帰ろう。楓もそろそろ夕飯の支度を始めてるだろうし、少しくらいは手伝わないとな」

 こくんと頷くプリムラ。

「……楓のご飯、おいしいから好き……」

「よし。それじゃ、ちょっと急ぐか」

「……うん……」


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