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ウルトラマンカイナ
特別編 ウルトラカイナファイト part7
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ン――「イカロスの太陽」による産物を目にした磨貴には、それ以上の「大役」があるのだ。再びウルトラマンとして立ち上がり、この地球を救うという「大役」が。

「あの意味わかんねー象形文字みたいなヤツが……SOSのサインなんだろ。お前の助けを、ウルトラマンカイナが必要としてるんだろ!? だったら迷うな! 行けよ、磨貴ッ!」
「……分かった! ここは頼むぜ、力也ッ!」

 ウルトラマンとしての自分を見てきた、力也の思いを汲み。磨貴は意を決してこの場を離れると、校舎の屋上を目指して全速力で駆け上がって行く。
 不良時代の溜まり場だった、人気のない屋上。もう2度と来ることはないと思っていたその場所こそが、「絶好のスポット」なのだ。

「……リッパー師匠、ルプス師匠。こんな札付きの俺ですが……この戦いだけは、是が非でも勝って見せます。だから見ていてください、光の国から!」

 1年前。ウルトラマンとしてはあまりに未熟だった磨貴を、徹底的に鍛え上げた2人の師匠――ウルトラマンリッパーと、ウルトラマンルプス。
 手の掛かる不出来な弟子なりに、その2人への勝利を捧げるべく。彼は変身アイテムである指輪「コネクトリング」を、左手の中指に嵌めると。その台座に変身の鍵となる宝石「リリースジェム」を装填し、左の拳を勢いよく天に突き上げるのだった。

「――ジェムゥゥウッ!」

 リリースジェムを台座に差し込まれた、コネクトリング。その指輪を中心に広がって行く巨大な光が、磨貴を飲み込み――銀色の巨人と化して行く。
 固く握られた拳を突き上げ、「ぐんぐん」と現れたその巨人が、学校の前に着地したのは、それから間もなくのことであった。

 筋骨逞しいボディライン。肩や足を保護している、岩のような甲殻。初代ウルトラマンを想起させる模様に、茶色の差し色。両手の甲に埋め込まれた、四角の宝石。
 質実剛健。その言葉が相応しい、堅牢なるシルバー族のウルトラ戦士。それが、カイナを筆頭とする「新人ウルトラマン」最後の1人――「ウルトラマンジェム」なのだ。

「おい、見ろよ……! あれ、ジェムじゃないか!? ウルトラマンジェム!」
「本当だ……ウルトラマンジェムだ! ちょっ、写真写真! これ絶対バズるって!」
「お前らそんな場合かッ!? さっさと避難しろって言ってんだろがッ!」

 1年前、ジェムは何度もこの学校を怪獣達の脅威から救ってきたのだ。そんなウルトラマンとの思いがけない「再会」に、生徒達は避難すら忘れて歓声を上げている。
 中には、SNSで拡散しようと写真を撮り始める者までいた。そんな彼らを嗜めながら、力也はジェムの巨躯を仰ぎ、深く頷いている。

(行ってこい! あの怪獣共に、正義の突っ張りかましてやれ!)
(おう……! 任せときな!)


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