特別編 ウルトラカイナファイト part6
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た額から血を流しながらも、要は全く怯むことなくエンジンを全開にしていた。
露わになった彼の鋭い素顔は、すでに「歴戦の勇士」の色を帯びている。正面から廃車が転がって来ても、要は躊躇うことなくそのまま直進し――車体に乗り上げ、空高くジャンプしていた。
「菜緒がいる世界を……この地球を、壊させるわけには行かないッ!」
そして着地と同時に、廃車を飲み込んだ爆炎を背にしつつ。瓦礫の雨を掻い潜るバイクが、最高速度に達した瞬間。
ハンドルから手を離した要はそのまま立ち上がると、勢いよくライダースジャケットの胸元を開く。そこには、彼がウルトラマンとして蘇ったことを示す「証」があった。
カラータイマーの輝きを彷彿させる、五角形の宝石のペンダント――「アーククリスタル」。
首に下げられていたそれを引きちぎり、天高く翳した瞬間。要の「変身」が、始まるのだ。
「――アァークゥッ!」
その絶叫に呼応したアーククリスタルから広がる閃光が、彼の全身を包み込み。やがて眩い輝きの中から「ぐんぐん」と、銀色の巨人が拳を翳して飛び出して行く。
無人となったバイクが力無く横転した瞬間、その巨人の全貌が露わとなった。
頭部のトサカに備わる、二つのウルトラホール。額に輝くウルトラスター。ウルトラマンリブットに近しい、複雑なラインを描いた模様と、青の差し色。アーククリスタルと同じ、五角形のカラータイマー。
その勇姿はまさしく、この次元における5人目の新人ウルトラマン――「ウルトラマンアーク」のものであった。カイナ以来となるシルバー族の戦士が、2年の沈黙を破ってついに降臨したのである。
『やはり、兄さん達も動き出している……! 俺も行きます! テェェイッ!』
両手を揃えて地を蹴り、マッハ3.5の速度で飛び上がったアークは。その音速を以て、「先輩達」の元へと急行する。
守りたいと願った女性がいる、この地球に真の平和を取り戻すために。
「……君の大切な人は、必ず私が守り抜いて見せる。思いっきり戦ってくれ、ウルトラマンアーク」
そして、菜緒を含む学生達を乗せたシャトルバスが、東京を脱出した頃。その運転手を務めていた光は、バックミラーに写し出されたアークの後ろ姿に微笑を浮かべていた。
ウルトラマンドクテラと共に、別次元の宇宙からやって来ていた「ウルトラマンフィスト」は今――佐渡光と名乗り、アークの復活を見届けている。その背中に、「かつての己」を重ねながら。
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