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ウルトラマンカイナ
特別編 ウルトラカイナファイト part6
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「ちょっと、なんでシャトルバスが動いてないんですか! 運転手まで逃げてるとかマジありえないんですけど!?」
「もしもしお姉ちゃん!? 早く迎えに来てよぉ、電車もバスも全然動いてないし……ウソ!? 渋滞!?」

 テンペラー軍団の襲来によって、東京が大混乱に陥る中。都内の大学生達も、慌ただしくキャンパスから避難しようとしていた。
 講義が中断されたことに喜んでいる暇などない。次の瞬間には怪獣の攻撃が飛んで来るかも知れない、という焦燥感に追い立てられ、誰もが必死にキャンパスの外へと飛び出して行く。

「皆、落ち着いて! 実は俺、こう見えてバス免許持ってんだわ! とにかく乗れるだけ乗ってくれっ!」
「おぉっ、さすが佐渡(さわたり)パイセン! 頼りになるぜぇっ!」
「あれ? ミスコンの菜緒(なお)ちゃんはどこ行ったんだ!?」
「知るかバカ! そんなことよりさっさと乗れよ!」

 彼らの暴走を阻止したのは、とある1人の大学4年生だった。バス免許を持っているという佐渡光(さわたりひかる)の声掛けに反応し、大勢の学生達が通学用のシャトルバスへと群がって行く。

「ねぇ……ほんとに行くの? 今回の相手ってさ、結構ヤバい……よね?」
兄さん(・・・)達は必ず行くだろうからな。俺が行かないってのは……ダメだろ、多分」

 その混乱の渦中からやや離れたところにある、学生用の駐輪場には。1台のレーサーバイクに跨る青年と、そんな彼の傍らに寄り添う1人の女子大生が居た。
 入学から間もない新1年生でありながら、Fカップの圧倒的プロポーションとその美貌を以て、今年のミス・コンテストのグランプリに輝いた猫島菜緒(ねこしまなお)。そんな彼女が心配げに見つめている同級生の青年こと、八月朔日要(ほずみかなめ)にはとある「秘密」があった。

「……あ〜あ。ウルトラマン様はこんなところにか弱い女の子を置いて、さっさと1人で戦いに行っちゃうわけですかぁ。ミスコン優勝者でもほったらかしにしちゃうわけですかぁ。寂しいなぁ〜心細いなぁ〜」
「菜緒、お前なぁ……」
「ふふっ、冗談冗談。怒んないでよぉ。……ちゃ〜んと分かってるから。要君が一生懸命、皆を守ってくれてたってことくらい」

 要は2年前、ウルトラマンエナジーの「後任」として地球に現れた、第5の新人ウルトラマンとして戦っていたのだ。
 その頃から、この重大な「秘密」を共有してきた菜緒は。自分だけが正体を知っている、自分だけのヒーローである要を、密かに想い続けているのだが。未だに、その胸中を素直に明かしたことはないのである。

「……分かってるよ。私は、ちゃんと」

 先ほど上空に現れた、「イカロスの太陽」による人工のウルトラサイン。それを目にした要の様子を見れば、おおよその状況は察し
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